「あれ、佐久間、まだ帰らないのか?」

「うちの担任、しっかり日誌書かねぇと帰らしてくれねぇんだよ」

「ふぅん」

「…」

「あ、ここ漢字間違ってる」

「…」

「…相変わらずミミズがのたくったような字だな」

「るっせぇよ!てめぇバカにすんなら帰れ!」

「でも俺は好きだぞ、佐久間の字」

「ふん………そうかよ」

「もちろん、佐久間も好きだからな」

パキッ!!

ずるっと勢いよく罫線からはみ出した拍子に、佐久間の右手に握られたシャープペンシルの芯も、それはもう勢いよく折れた。










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