アフロディ→風丸(+愉快な仲間たち) 亜風炉 照美、通称アフロディ。 世宇子中学サッカー部所属で、ポジションはMF。 かつて影山に利用され「神のアクア」を使用するも、雷門に敗れたことにより目を醒ます。 その後は母国らしい韓国のサッカーチーム・ファイヤードラゴンに入り、俺たちとアジア代表の座をかけて再び戦った。 と、まぁ、俺が知ってる彼の情報と言えばこれくらいで、それ以上でも以下でもない。人並み程度だ。特別仲が良かったわけでもない―――――――にも関わらず。 今、俺はそのアフロディに両手をしっかりと握られ、満面の笑みを向けられている。 …よし、状況を整理しようか。 10分程前だっただろうか。 それはいつもと何ら変わらない、練習中のこと。 突然空から何かが舞い降りてきたかと思うと、その物体は「見つけたよ風丸ぅぅぅ僕のエンジェルーーっ!」とこちらに猛ダッシュしてきたのだった。それがアフロディだと気付いた時にはすでにがっちりホールドされていて、うん、そうだ、それでこの状態になったんだ。 あぁもう豪炎寺からは物凄い殺気を感じるし、円堂は「風丸から離れろー!」と今にもアフロディに殴りかかりそうな勢いなので鬼道や土方に取り押さえられているし。染岡たちは我関せず、黙々と練習に戻って…って、ちょ、少しくらい助けてくれてもいいだろ染岡ぁぁぁ! いやそれより不動に至っては円堂に「いけいけ、やっちまえ」なんて完っっっ全に面白がって煽っていて質が悪いったらない。バカ不動!後でお説教だからな!! 「えーと、アフロディ?」 「なんだい?」 「見ての通り今は練習中だから、何か用があって来たんなら後で聞くぜ?」 ズキズキと痛むこめかみは絶対気のせいじゃない。何だかよくわからないけれどこのまま放っておくわけにもいかないし、とりあえず俺にできることは、この事態をなんとかすることだろう。 せっかく(多分)遠くから来てくれたのに悪いなと思いつつ、言外にやんわりと離れてくれ、と本音を含ませる。 するとアフロディはぐりぐりと肩口にこすりつけていた頭をぱっとあげた。 「ふふ、特に用はなかったんだけどね」 「?じゃあ、」 どうしたんだ?と続けようとした言葉は、ふ、と近付いてきたアフロディに、文字通り飲み込まれてしまった。 シャンプーだろうか、一瞬だけふわりと優しいローズの香りに包まれる。 ちゅっ!と可愛らしい音をさせて、目前いっぱいに広がっていた彼の顔がゆっくりと離れていく。 …んん? 「君に会いたくなったから、来ちゃったんだ!」 にっこり。 金色のふさふさ睫毛に縁取られたややつり目がちなアーモンド型の瞳が、やわらかく細められる。至近距離で微笑まれて愛おし気にゆるりと頬を撫でられて、同じ男なのに、かぁっと熱が集まっ―――――っていやいやいや!違くて!そうじゃなくて!!流されるな風丸一郎太! ていうか、い、今、キ…!! 「アアアアアァァァフロディィィィィイイイイイ!!!!」 突如聞こえた叫び声にはっと我に返り振り返ると、土方と鬼道(とさらに壁山と立向居が増えていた)をなぎはらった円堂が、魔神もびっくりする鬼のような形相で迫ってきていた。ありとあらゆる必殺技を繰り出しながら。 しかしそれはゴッドノウズによって空に逃げたアフロディに届くことはなかったが。 「残念、ちょっと邪魔が入っちゃったけど…また会いに来るからね、マイエンジェル風丸!あ、それから円堂くんに豪炎寺くん、ご馳走様!」 ばちーん☆とどこぞの一之瀬ばりのウインクを決めて颯爽と飛び去るアフロディの言葉に、ゴッドハンドでハエ叩きの如く彼を叩き落とそうとしていた円堂と未だ殺気を放っていた豪炎寺の動きが、ピタリと止まった。 ああ、これでやっと静かになった。練習が再開できる。 と、思ったら。 「二度とくるなー!塩持ってこい塩!!!」 「円堂塩だ!しかも天然塩!悪霊退散!!!」 「悪霊退散んんんんんーー!!」 何のことはない、うるさいのが一人から二人に増えただけだった。 スイーツは誰の手に? (スイーツ=我らが疾風DF) 「はぁ…結局あいつは練習妨害しにきたのか?」 「お前に会いに来たと言っていたじゃないか」 「それはそうなんだけどさ、別に連絡くれればいつでも会えるのにな。おかしな奴」 「基本的にフリーダムな奴だからな。それより風丸、」 「ん?」 「今日は円堂と豪炎寺に近寄らない方がいいぞ、自分の身の安全の確保に全力を尽くせよ」 「あー…善処する」 「…いざとなったら頼れ」 「あぁ、ありがとな」 戻る |