久遠×綱海


夏真っ盛りのライオコット島。
宿の空調は常にベストな状態を保っているはずなのに、この部屋だけはおかしかった。機械が壊れたわけではない。
平素の爽やかな空気とは違う作為的な、あるいはどこか別世界のような熱気を孕んでいた。
その部屋に備え付けられたベッドにくたりと横たわっているのは、イナズマジャパンDFの綱海条介で、この部屋の主だ。


ギシ、と俺の体重を掛ける度に、ベッドが軋む。

「かん、とく…」

もともとハスキー気味だったが、今日は一段と掠れた声が鼓膜を刺激する。
ゆっくりと開かれた瞳には、少しだけ困惑の色が浮かんでおり、薄い涙の膜がそれを覆っていた。勝ち気で明るく、チーム内ではムードメーカー的な存在の綱海だが、今の彼にそんなものは見る影もなく、それはすっかり身を潜めてしまっている。まるで借りてきた猫だ。

「ふ、ぅ…くるし…」

私と視線が絡まると、いやいやするようにゆるゆると首を振る。幾筋かの髪が頬に張り付く。

「…無理はするな」

そう言っていたわるように、しっとりと汗ばんだ肌に手を滑らせる。感覚が敏感になっているのか、ぴくりと反応を示した。
しかし口では無理はするなとは言ったものの、実際、私にすらそれを止めることは出来なかった。

彼が何か言いたげに口を開く度にちらちらと覗く赤い舌が悩ましい。否応無しに理性と自制心、そして男性的本能を揺るがせていく。更にここに漂うこの異様な雰囲気が、よりそれに拍車をかけていくのだ。
よもや私がそんな葛藤をしているなんて微塵も思わないのだろう、髪を撫でていた手をきゅ、と掴まれた。
ギシ、とまたスプリングがはねる。

「ふ……っ、あ、あれ、…飲む…」

「そうか…いい子だ、綱海」

は、は、と浅い呼吸を繰り返す綱海はもう我慢できないとでも言うように、とろけきった表情でこちらを見つめていた。
もう一度、今度はくしゃりと桃色の髪を撫でてやる。
ああ、今私はどんな顔をしているのだろうか。

「…待っていろ、すぐに出す。残さず飲むように」

「ぅ、……はやく…ぅ」
























「ほら、薬だ。早く飲め」

「ぅ〜…頭いてぇ…」

「いくら夏とは言え風呂上がりにろくに服も着ないでエアコンをつけっぱなしで寝れば、風邪のひとつやふたつ引くに決まっているだろう」

「はぁーぃ…」




深読みしすぎた私が馬鹿だった!
(そう思った奴、今すぐグラウンド十周だ)








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一回こういうの書いてみたかった(笑)もはや鉄板ですね
本人はノリノリでした
アダルティってむずかしい








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