円堂×風丸
「あ」
「どうした?」
「やば、教室にタオル置いてきたっぽい」
今日は朝練の準備が色々あるから、ということで俺と円堂は早めに集まった。教室に荷物を置き、必要なものを持ってグラウンドに向かい、さて準備しようか、というタイミングでこの発言である。
思いっ切り"しまった"という顔をしてる円堂はいつも通りで、そそっかしいところは相変わらずだなと思った。
まだ雷門中サッカー部が弱小チームだった頃に比べると、これまで数々の試練を乗り越えてきた円堂は、人間的にも精神的にも大きく成長したと思う。今だってイナズマジャパンのキャプテンとして、立派にチームをまとめあげている。段々大人びてきた幼なじみに焦燥感を感じることも、ないとは言いきれなかった。
でも根本は全く変わっていなくて、そこにいるのはやっぱり俺の知ってる円堂なのだ。そう思うと、なんとなく安心する。
「仕方ないな、ひとっ走り取ってきてやるよ」
「マジで!ありがとう風丸!」
じゃー俺先に準備してるなーと円堂がガラガラと石灰を引く音をBGMに、一先ずグラウンドを後にする。
まだ誰も登校していない校内はひっそりと静まり返っていて、静かに歩いているつもりなのに足音がやたら大きく聞こえた。俺たちのクラスは三階だ。ぺたぺた階段を登っていく。教室に着いて円堂のタオルを探すと、それは堂々と机の上に放置されていた。
…これを忘れてくなんて、よっぽど早く練習したかったんだろうか。
まぁいいや、とタオルを持ち教室を出ようとすると、外から円堂の呼ぶ声が聞こえてきた。
「風丸ーーー!!」
まだ何か忘れ物かと思い窓の方に寄る。大声を出すのは憚られたが、まだ誰もいなかったことを思い出して、俺も返事をする。
「なんだー!」
しかしガラリと窓を開けた次の瞬間、予想だにしなかった展開が待っていた。
「風丸ー!好きだーーー!!」
そう言ってグラウンドの中央でこちらに両手を振っている円堂の周りには、恐らく石灰で描かれたでかいハートマーク。その中に円堂と俺の名前も書かれている。
「大好きだーーー!!!」
もう音なんて関係ない。
勢いよく教室を飛び出して、いたずらが成功した時のような満面の笑みを浮かべていた幼なじみのもとへ走り出した。
(っ、タオルはただの口実かよ!)
熱く火照った頬を冷ますように全速力で駆け抜ける。
どうやら俺の幼なじみは、恋の駆け引きも覚えたらしい。でもどんなに時が経っても、ずっとまっすぐに俺だけを見てくれている。
そんな彼に感謝と愛情をたっぷり込めたささやかな復讐を考えながら、ひたすら地面を蹴った。
運動場に愛を描こう
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素敵企画、糖分超過さまに提出しました
円風は青春!って感じが一番似合うCPだと思います。円堂のたまに見せるこういう大胆な愛情表現に風丸がキュンキュンしてたら可愛いです。
円風好きだ!
企画参加させて頂き、ありがとうございました(*´∀`*)
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