※涼野と瀬方にょた

これの続きみたいな






「海だ!」

「海だな」

「ちょぉぉぉ待て待て待てー!」

「待て瀬方!」

「む、なんだバーン」

「なんですか、砂木沼さん。どうかしましたか?」

「ダメだ、瀬方」

「???」

「二人とも何か羽織れ!」

「えぇ!?」

「何故だ!せっかく海に来たんだから水着でいたい!」

「ダメなもんはダメ!」

「そういう二人は水着ではないか!しかも新品!」

「俺らはいいの!でもお前らは水着、ダメ、絶対!はいこれ着なさい!」

「瀬方、お前もこれを着ろ」

「えー!砂木沼さんまで!」


正直、俺らだって所謂普通の健全な男子だ。海水浴っつー夏の一大イベントにかこつけて、大好きな彼女の学校用でないプライベートな水着姿を見たい!!ってそりゃもう楽しみにしていたさ。

だけど。
だけどな。

しぶしぶパーカーとシャツを羽織った二人は横暴だ〜ずるい〜とか男女差別反対だとかまだ騒いでいるが。
自分の欲望より予想外に可愛すぎる破壊力抜群の水着姿を、周りの男に見せたくないっつー独占欲の方が勝っちまったんだから仕方ねぇだろばかやろー!!

実際、風介と瀬方はいい意味(俺らにとっては悪い意味)で非常に目立っていた。
色白で華奢な(黙っていれば)守ってあげたくなる系の風介と色黒でスタイル抜群のお姉ギャル系の瀬方のコンビはあまりにも対照的で、それゆえに幅広い野郎共の好みに合致しているわけで。

(っていうかあの子ら超可愛くね?)
(フリーかな)
(てか横にいる赤いのと黒いのってさ、彼氏?)
(いや、ただの荷物持ちじゃね?)
(つーか釣り合ってねーしありえねーだろ)
(マジウケるしー)

そんな頭の悪そうなセリフと共に、さっきからチラチラチラチラと二人に視線を送ってきやがる輩をギッと睨み付けて散らしていく。砂木沼はそれプラス無言の圧力をかけてるから、相当怖ぇ(こいつは眼で人を殺せるんじゃないだろーか)。
ふん、残念だったな。こいつらの彼氏は俺らだ。そしてこいつらは俺らにベタ惚れなんだよ。まあ、俺らもだけど。

「あーあ、せっかく海に来たのに予想外の展開だったなー。もっと風介の水着見たかったぜ…」

「まあ、確かに。しかし、別段気にすることではないですよ」

「あ?なんでだよ」

「我々は後でゆっくり堪能すれば済む事です」

「…はっ、なるほどな」

そーいうこと。

ならばとりあえず、今は御機嫌斜めな恋人たちをどう宥めるかに頭を働かせるとするか。










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