砂木沼×瀬方


外では季節外れな雪が降り、つい最近までの暖かい日差しは何処へやら。一気に冬に逆戻りしてしまった、四月の半ば過ぎのこと。

おひさま園でも、もう暖房器具は使わないだろうということでほんの二〜三日前にほとんど片付けてしまっていたため、この寒さはかなり応えた。一応エアコンはあるが、やはりカーペットや炬燵、ヒーターには及ばない。
今も自室で、少ない暖房器具がフル稼働している。

「本当、寒いですね…」

「全くだ」

瀬方は私が貸したダウンにすっぽりくるまっているのだが、それでも寒いらしい。…私の部屋は北向きだから日が当たらないせいもあるが。

「砂木沼さんは、寒くないですか?」

「ああ、これくらいなら大丈夫だ…少し冷えるがな」

私はというと、いつも通りの服装に薄手の羽織りものだけだ。冬並みに気温が下がったとはいえ日中は大分暖かくなった今では、そこまで着込む必要もない。それに暖房だってつけているのだ。
…とはいえ若干、肌寒い。
ダウンは瀬方に貸しているし、しかし毛布にくるまるまででもなく、…どうしたものか。
そう思っていると、ちょいちょいと服の裾を引っ張られた。

「どうした?」

ダウンからひょっこり顔だけ出した瀬方が、こちらの様子をちらちらと伺いながら、裾をぎゅっと握り締めている。

「…えーと、あのですね。俺、寒がりなんですけど、体温高いんです」

だから、少し、くっついてもいいですか?
などと可愛いことを言ってくれるものだから、無論拒否するはずもなく、失礼しますと遠慮がちに寄り添うお前の肩を強く抱き寄せた。




寒いですね、と寄り添うお前が好きでたまらない
(この温もりは、手放したくないな)









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