デザーム×ゼル
「はて、何故うさぎの枕がこんなところに…?」
「失礼致します、デザーム様、この辺りに枕がおち…」
「…ゼルのものか」
「そ、それ…!」
「部屋の前に落ちていた。そうか、マキュア辺りかと思っていたが、ゼルだったか。ふふ、随分と可愛らしい枕を使っているのだな」
「あの、それのことは…どうかご内密に…」
「ふむ、どうしたものか」
「デ、デザーム様…」
「冗談だ、そんな顔をするな。ならばそうだな、交換条件として、」
口止めの代価
(お前から私に"口止め"してくれ)
「は…"口止め"と申されますと………」
一瞬何のことだか分かりかねる、という表情を見せたが、聡い彼はすぐに私の言葉の意味を理解し、さっと頬を染め上げた。
「今更だろう、何をそんなに照れている…それとも?」
にやりと意地悪く微笑んでみせると、硬直していたゼルは観念したのかもとより抵抗する気はないのか(恐らく後者だ)、恐る恐るとこちらに向かってきた。
「、わかりました…し、失礼致します…」
緊張からか、しっとりと汗ばんだ褐色の手が私の頬を包む。
遠目からでもわかるくらいだったが、近くで見てもやはりエイリア石のように真っ赤であった。
ゆっくり近付いてくるゼルの唇が触れるか触れないかのところで、逆にこちらから口付けする。
「…っ!デザ…っ!」
驚いて離れようとするゼルの腰と頭に手を回してしっかりと固定した。
「ッは…ふ、……っ、ん」
さて、賢いお前ならば、私の考えていることなど読めているのだろう?
そのままベッドに傾れ込む二人を、うさぎの枕だけが見つめていた。