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豪炎寺×風丸
コンビニの前に立ちドアが動き始めると、来客を知らせるピロピロン、という軽快な音がワンテンポ遅れて鳴った。
ああ全く、自動ドアが開こうとする間すらもどかしい。
「いらっしゃいませー」
心地よいハスキーボイスが店内に響いた。
長く青い髪をひとつにくくった赤目の店員が、営業スマイルを寄越す。
今の時間、店員はこいつだけだ。他の客もいない。
それだけ確認して、俺は迷うことなくレジに直行した。
振込みか何かと思ったのだろう、カウンターの下を探ろうとしたそいつの手を握り、一言。
コンビニのお姫様
(一目惚れだったんだ)
「好きだ、付き合ってくれ」
「…えーと、俺、男なんですけど」