染み込む

バレンタインの季節がやって来た。
衰弱していたレーシュも元通りになり、ハリーたちと一緒に行動する、と思ったが、レーシュは日記探しに夢中なようだ。

何度か凄いものをみつけた、とハリーから声をかけられたが、その度に探し物があるんだと断っていた。

廊下でのことだ。
何やら騒ぎがあるらしく、野次馬根性でそれを見に行くと、マルフォイがハリーの日記を見せびらかしているようだ。

ハリーは日記なんて付けていたのか、と思いそれを目にすると、それはリドルの日記だった。
女子トイレに投げ捨てた日記を何故ハリーが持っているんだ、という疑問よりもレーシュに知らせなくては、という意思の方が上だった。
足早にその場を去り、レーシュにその事を報告した。
探し物をハリーが持っていたなんて、しかも凄いものをみつけた、とは恐らく日記のことだ。
灯台もとぐらし、とはこのことだ。


「ハリーが日記を?」

そう呟いてから、レーシュは考え込んだ。

それから何日も経ち、復活祭の休暇に入った。
ハリーたちの部屋が荒らされたらしい。
無くなったのは恐らく、リドルの日記だろう。
レーシュがやったのだ。きっと。

「レーシュ、日記は」

「ボクが持つ」

「でもレーシュ、また衰弱しちゃう」

「大丈夫だから。お前やハリーに手を出されるよりマシだ」

「……………。」

それは私も同じだ。
レーシュに手を出されるなら、自分を犠牲にする。
そう言いたかったけれど、レーシュの目を見ると何も言えなかった。
レーシュの覚悟が、私より上だった。

なにより私はどこか物語を読むような感覚で、今を生きているから。
覚悟なんてたかがしれている。

それでも、話し合いをしたんだから一緒に協力して解決しよう、だなんて思うんだ。

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