染み込む

数日経っても文字は消えない。
フィルチさんがどんな方法をとっても、消えなかった。

レーシュはいつも通りに見えるけれど、どこか警戒したような、焦っているような風に見えて不自然だ。

他の生徒たちは戸惑っているし、まあ純血のスリザリン生徒は喜々としてこの状況を楽しんでいるけれど。

ハーマイオニーはホグワーツの歴史という本が全部貸し出されていることから自分の家からもってくれば良かったと後悔していた。
無駄に多いロックハートの本を置いてくれば良かったのに。

魔法史の授業でハーマイオニーが手を挙げビンズ先生に秘密の部屋について質問したりと、三人は今回の事件の謎を探るようになっていった。

私とレーシュはそれに参加しなかった。
いつもなら進んで協力するレーシュが、日に日に疲れていっている様子だからだ。

レーシュはリドルの日記を手放そうとしなくなった。
私はヴォルデモートとの関係がバレたのかと思っていたが、数日経ってもそんな素振りを見せない。
そもそもリドルが自らヴォルデモートという人物と関連があるのだと明かす筈がないと気付いた。

ならば何故リドルの日記を手放さないのだろう。

私には分からなかった。

それから暫く。
レーシュはどんどん衰弱していった。
何が原因か、私は気付いていた。
リドルの日記だ。
あれは魔力を吸い取るのだ。
レーシュには悪いが、リドルの日記を捨てよう。
どこか人気のない場所がいい。
そうだ、嘆きのマートルがいるトイレにしよう。

そう決意した私の行動は早かった。
課題に必要な本を取りに行ったレーシュの隙をついてリドルの日記を鞄から取り出し、自分の鞄に入れた。
いつ気付くかわからなくてハラハラしていたが、今の所気付いていないようだ。

そして帰り道、マートルのいるトイレに立ち寄り日記を投げ捨てた。



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