染み込む
…………未だ現状は膠着状態にある。
と言うべきか。
打開策はなにもない。
レーシュが孤児院にいたことでさらに、だ。
今日もハリーとレーシュは仲良しだ。
微笑ましい。
宿題を二人仲良くやっている。
ロンはどうした。あ、お兄さんたちにからかわれてる。ご愁傷様です。
ハーマイオニーもいないし、女子寮に行こう。
さて、日記の行方についてですが、ジニーちゃんに返品を断られました。
一度離れたことで冷静になって、日記が恐ろしくなったようだ。
私たちも日記を手放したほうがいい、と言われたけれど、うまいこと曖昧にして終わった。
以後は当番制でレーシュと交互に日記を所持している。
といったことはリドルには話さずにいたのだ。
しかし彼は何でもお見通し、といった態度で「まあこうなることは予測できたけどね」と言った。
言った…?
此処は女子寮、男子は入れない。
そもそも此処には私以外誰もいないはず。
というかリドルと認識したこの男子は誰だ?それよりも…。
「レーシュとそっくり…!?」
兄弟と言われれば納得出来そうなほど、彼とレーシュは似ていた。
それこそ、これが未来のレーシュだ、と言われたら信じそうなほどに。
「この状態では初めまして、だね。カナデ」
僕はリドル、と微笑んだ彼。
赤い瞳は悪戯が成功したとでもいうように楽しそうに揺れている。
そう、赤い瞳だ。
ということは、だ。
「リドルが、ヴォルデモート…?」
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