はみ出した魔法
はしたわ同盟を勝手に一人で設立して満足した私は、次は何が映るのかとわくわくしながら鏡のある部屋に向かった。
無論レーシュによる透明になれる呪文をかけてもらってである。
鏡のある部屋に入ると、そこには先客がいた。
「ハリー?」
「え、カナデ?どこにいるの?」
「ここにいるよ、ここ」
「こ、ここ?」
ハリーには悪いがレーシュがいないため、呪文の効果が消えなければ姿を現せないのだ。
「ハリーはこの鏡、何が映るの?」
「家族だよ。僕の家族がここにいるんだ」
「家族、かー。」
「カナデは何が見えるの?」
ハリーにそう言われて、改めて本来の目的を見る。
「前ははしたわ同盟だったんだけど、今は…ハリーと、レーシュたちが見えるよ」
「僕たちが?」
「うん」
「それって…」
「あ。」
「……あ。」
手の指先がうっすらと見えている。
やばい。
呪文の効果が切れてきたんだ。
「じゃあ、ハリーまた明日!」
「う、うん…気を付けて」
物音をたてないよう気を付け小走りで部屋を出た。
……それって、とっても素敵な望みだね。
誰かがそっと呟いた。
- 11 -
≪ ≫
back