はみ出した魔法
ロンの言葉を聞いてトイレに閉じ籠ったハーマイオニーを連れ戻そうとしてからどれだけ時間が過ぎただろう。
「ねー、もう気にしないでおこうよーロンの言うことなんかさー」
「だって、事実だもの…!カナデにはレーシュがいるし、あの人たちだっているし、わからないでしょうけど!」
「え、待ってハーマイオニー、あなたは?じゃなきゃ私、男の子侍らしてるみたいに聞こえるやばい」
「それは…ふっ……仕方ないんじゃない」
「今ちょっと笑ったでしょ、おい」
「ふふっ」
「ハーマイオニーも仲間に入れてよー!」
「嫌よ」
「ハーマイオニーがいてくれたらセーフなのおおおお!」
「ふふふっ!」
ちょっとふざけ混じりに説得。
ハーマイオニーが笑ってくれているから安心する。
あと少しで出てきてくれそうだ。
そう思ったとき。
酷い異臭が鼻をついた。
振り返ると、トロールがいた。
「ハーマイオニー!なんかやばいよ!」
「………え?」
私の声にトイレから出てきたハーマイオニーは、トロールの姿を見て悲鳴をあげた。
なにが何だかわからなかった。
レーシュにハリー、ロンがトイレに入ってきて、トロールを引き付けてくれて、それから………。
一体何が起こってるんだ。
「はやく、カナデ、こっちだ。」
必死な表情のレーシュが私を引っ張る。
それに応えようと走るが上手く足が動かない。
ハリーがトロールに振り回されて、ロンが呪文を唱えて、それから、それから。
先生たちが駆け付けて、ハーマイオニーと私でハリーたちを庇うために先生に嘘をついて、寮に戻って…。
「ありがとう」
みんなの絆ができた日になった。
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