美少年をプロデュースしたくて! | ナノ
 ぽけぱろ

従兄妹の誕生日の為に、ぼくは感謝の意味を持つ花を摘んだ。
バスケットをグラシデアの花が彩る。
そっと、丁寧に想いを込めて。

この花畑はとても美しくて、誕生日が終わったらカナデと一緒に来よう。
それなら。どうせなら今日、一番綺麗な花を見つけて渡したい。
そう思って一度バスケットを置いて探検をした。

花畑を見て回って、納得のいく花を見つけた。
バスケットを置いた場所まで戻ると、なんだか量が増えているような気がした。こんなにバスケットは重かったかな。じっとバスケットを見つめる。

もぞり。グラシデアの花が動いた。
思わず声を上げると、また動く。

ーー気のせいではなかった!

バスケットの中でころん、と転がって姿を現したのは、グラシデアの花。いや、この花畑そのままのようなポケモンが、すやすやと気持ち良さそうに眠っている。

つんつんと突いてみるとまたまたころりと転がって……寝返りをうって眠っている。随分と図太い子だなあ。そう思ってため息を吐いた。

「きみ、そろそろ起きてくれないかな。このバスケットは大切な子にあげるものだから」

花を摘むのに夢中になってしまっていて、いつのまにかだいぶ時間が経っていた。もう夕方になってしまいそうだ。

このままではカナデの誕生日が祝えない。

そう心配した瞬間に、花畑のポケモンが目を覚ました。

「きゅう」

「ああ、よかった。やっと目を覚ましてくれたんだね。きみも、早く家に帰らないと暗くなってしまうからね?」

眠たげなポケモンにそう言って、地面に置いたバスケットから下ろす。
すると、ぴょんと再びバスケットに入り込んだ。

「きゅうう!」

「バスケットの寝心地が気に入ったの?」

問いかけるとポケモンは、きゅう!とまるでそうだと肯定するように鳴いた。

空の色が変わってきてしまったから、仕方なくこの子をバスケットに入れたままカナデの家に向かう。
道中、これからなんのためにどこに行くのかを説明すると、きゅうう、と返事をしてくれた。

カナデの家にたどり着いた。インターホンを押して、すぐ扉は開いた。

「日和! おかえ、りっ!?」

「カナデッ!」

流石に予想していなかった。カナデが出てきた瞬間、あのポケモンがカナデの顔に飛びついた。

「えっ、えっ! 一体なに……ポケモン?」

「この花のある花畑にいたポケモンで、このバスケットが気に入ってしまったみたい」

顔に張り付いたポケモンをはがしながら説明をする。抵抗するようにじたばたと手足を動かしているポケモン。何がそうさせているのか不思議に思う。

「花……?わあっ!綺麗だね!ありがとう、日和!」

「どういたしまして。誕生日おめでとう、カナデ」

ありがとう、とまたカナデがお礼を言った時に、きゅううん!と鳴いたポケモンにカナデは目を向けた。

「おいでおいでー!」

「きゅう!」

安全そうな様子にポケモンをおろし、カナデとポケモンを見つめる。

「なるほど、仲間だと思われたんだね!」

「それなら日和も仲間だね!」

「きゅうい!」

なつきに懐いたポケモン。
(後にシェイミという種族だと判明した)ーーは、そのままカナデのポケモンになり、楽しそうに暮らしている。





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