差し出されたグラスの水を一気に飲み干して、ほぅ…と息をつく。

「大丈夫?大分飲まされちゃったね」

 ツキヤは心配そうにサクラを覗き込みながら、空いたグラスに水を注いだ。

「ん〜さすがにもう無理そうです」

 サクラが眉を下げて言うと、ツキヤの手が伸びてきて、サクラの頬に触れた。
 サクラは、ビクリと肩を揺らして手を避けるようにその身を引いた。



ダンッ

 グラスがテーブルに叩きつけられた音にキバはビクッと身を竦めた。
 音のした方を見ればナルトが前方を鋭い目つきで睨んでいる。

 恐る恐るナルトの視線を辿っていくと、先輩らしき男がサクラに手を伸ばしていた。
 サクラは身を引いて手をよけていたが、サクラへ向かって伸びた手はテーブルの上に置かれていたサクラの手に重ねられた。
 チラリと隣のナルトを伺うと、テーブルの上に置いた拳がふるふると小刻みに震えている

「……」

 ツゥとキバの額に汗が流れる。正直、今後の展開にいい予想は全くしなかった。




「……顔が熱いね。外の空気にあたった方がいい。一緒に行ってあげようか」

 そう言いながら自分の手に重ねられたツキヤの手をサクラは驚いた目で見ていた。
 サクラは自分の顔がヒクリとひきつるのを感じた。


「……あの、大丈夫ですから」

 相手は職場の先輩だ。サクラは笑顔を貼り付けたまま、重ねられた手から自分の手を引き抜いた。


「ちょっと外行ってきます」


 サクラはゆっくりと立ち上がる。
 体がふらつかないように気を張った。なんとか一人でこの部屋を出たかった。




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