ナルトが自宅の前に立った時、空はすっかり暗くなっていた。

 鍵を差し込んだナルトの視線がドアの隙間に挟まっている小さな紙を捉えた。不思議に思いながら指先で摘んで引っ張り出す。
 玄関に入って行きながら挟まっていた紙を広げたナルトは、書かれた文字に目を細めると足をぶんぶん振りながらサンダルを脱ぎ捨てて家の中へと急いだ。

 部屋の灯りをつけて目に飛び込んできた時計は7時15分を指している。

「……このままって訳にはいかねぇもんなぁ」

 ナルトは自分の全身を見下ろしながらポツリ呟いて、急いでバスルームへ向かった。



7時28分。

 ナルトは玄関から飛び出した。鍵をかけようとした所でハッとしたように、今閉めた扉を勢いよく開いた。
 履いた靴もそままにドカドカと家の中へと舞い戻り、テーブルの上に置きっぱなしになっていた小さな袋を掴んで、家を飛び出て行った。


 大きな赤い提灯の下がる店の暖簾をくぐり、ナルトはガラガラと引き戸を開けた。
 一気に賑やかな音の洪水が押し寄てくる。店のあちこちから「いらっしゃいませ〜」と声が掛る。

 ナルトはカウンター越しに笑顔を向けてくる店主ににこやかに片手を上げた。すぐにやって来た店員に案内され奥の間へと進む。

 通された部屋の前に立つと、ドア越しにも賑やかな様子が伝わってくる。ナルトはそっと引き戸を引いた。

 予想通り、室内は大いに盛り上がっていた。
 今日は綱手主催の酒宴とあって、様々な部署に所属する忍び達が集まっている。これだけ多種分野の顔が揃うのも珍しい。

 ぐるりと室内を見回す。
 一番奥のテーブルにサクラの姿を見つけた。サクラの隣には綱手。同じテーブルに座っているのは医療班のメンバーだろうか。医療部の施設に行った時に何度か見かけた事のある顔が並んでいた。

 入口付近のテーブルに座る女の子達が、ナルトに気付いて黄色い声を上げた。
 その声に気付いたサクラが入口の方を向く。
 ナルトとサクラの目がバチリと合った。

―― ドキリ

 ナルトの鼓動が音を立てた。




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