ウケの条件
「ナルトー」
ナルトが床に倒れこんだ所で、サクラの声が飛び込んできた。入口に目をやれば、大きな目をさらにまんまるにしたサクラが立っていた。
待機所の空気が凍りついたように静まる一瞬の間の後、ナルトの上ずった声が響いた。
「サ、サクラちゃん!ちがっ!違うっ!誤解だっ!違うんだっっっ」
「……」
サクラは大きな目を見開いたままその場に固まっていた。
「ちょっと、違うってなによ。お前が知りたがったんでしょ」
「ち、違うっ!知りたがってねぇ!てか、どけてくれっ」
ナルトが慌てて、自分に覆いかぶさるカカシをどけようと力いっぱい腕でその体を押しのける。
その時サクラがニッコリと、それはもうニッコリと笑顔を浮かべた。
体の横に垂らされた細い腕。握りこまれた拳が淡い緑色に包まれる。
ナルトとカカシの目がハッとしたように見開かれた瞬間。轟音が室内に響いた。
「二人で何してるのかしら?」
床に付きたてた腕を抜きながら立ちあがるサクラが、二人を見下ろしながらニッコリと微笑んだ。
ナルトとカカシの居た場所には大きな穴。
穴の脇では、間一髪左右に離れるようにして危機を凌いだナルトとカカシが青ざめている。
「はたけ上忍は一体何を教えようとしていたのかしら?」
「ハッ、ハハハッ冗談だよ〜。やだなぁ、サクラ☆んじゃ!」
サクラがカカシに笑顔を向けると、カカシはひらりとその場から飛び退いて窓から消えた。
「チッ」
小さな舌打ちが聞こえたと思ったら、サクラの笑顔がナルトを捕らえた。
引きつった表情のナルトがビクリと肩を震わせる。
「や、ちがっっ、待っ、サクラちゃ……」
真っ昼間っからあんたは何やってんのよーーー!
サクラの怒鳴り声と破壊音、そしてナルトの悲痛な叫び声が、穏やかな里に響き渡った。
(1012.4.12)
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