女兎が啼く | ナノ
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「俺は何もしてやせんよ。寧ろ貰いに来たんですが」

「はァ?何を?」

「名前を。アイツが真選組で働きたいって言うんで、迎えに来たんでさァ」

「えっ…はァァァァ!!? 何だと名前、銀さん聞いてねえぞコラァァァ!!!」

「いや思いっきしバラしてんじゃねーかお前!」


思いっきり名前がいる押し入れの戸を開ける銀時と、それに対してツッコミをする新八を前にし、沖田は溜息をつきながら名前に近づいた。

名前はヒィと小さく悲鳴をあげながら、壁に当たるように後ろへ退く。目の前にドSコンビがいるのだ、怯えるのも仕方ない。


『ひぃい!言ったじゃん、閉じこもるって!ああああ開けないでよ!』

「知らねェよ。つーか何?名前ちゃん真選組で働くの?銀さん聞いてないよ?」

『そりゃ言ってないから…。ていうか、働くって言っても週三だよ?』

「週三だろうが、修造だろうが真選組で働くこと自体アウトなの。わかる?名前。襲われたいの?痴女なの?おまえ」

「天然痴女かィ」

『違う!とにかく今は放っておいて頂戴!I will sleep!』

「あッ待て閉じこもるなお前!つーか昨日何があったわけ!?」


閉められようとする戸を、銀時は必死の力で制止しながらそう言った。名前は悔しそうに唸ると、可細い声で話し出す。


『…どうしても言わなくちゃダメ?』

「おう。つか今の可愛すぎるもう一回言って」

『実はね…って言ってもそんな話したくないんだけど…。何ていうか簡単に言うと…は、ハメられたっていうか』

「「ハメられた?」」


銀時と沖田がユニゾンでそう言う。新八はこれから下ネタ暴露大会が始まると察したのか、神楽を酢昆布で釣って外に放り出した。


「でもお前は出てかないのね」

「…放っといてください。空気になるので」

「へえへえ。つーか、で?名前もう一回言ってみ」

『え…ハメられた?』

「そう。で、誰に?」

『…誰にっていうか…うーんと…お、女の子に』

「は?」

「お前レズだったっけ。百合百合っ子なの?」

『百合百合っ子じゃない。普通のノンケの女の子ですよ』

「じゃあ何で女なんかに襲われてんだお前」

『いやだから…』


沖田に低い声で追求され、名前は喉の奥がきゅっとなるも、渋々と話し出す。といっても、何処まで話せばいいのか分からない。というか、私でさえ昨日何が起きたのか分からないのだからどう仕様も無い。



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