Love Love Love エルガジ 相互記念空斗様へ



好きだと言葉にしたら、どんな気持ちになるんだろう。
ギルドのテーブルに頬杖をついて、カウンターでショートケーキを食べるエルザを眺める。
エルザはいつも突拍子もなく「好きだ」と言ってくる。
その言葉に「俺も」としか返せない。
エルザに言われるのは嬉しいし、それが普通だと思っているからだ。
しかし、最近ミラジェーンに言われた。

愛を確かめないと不安なんじゃないかしら、と。

「…俺、不安にさせてんのか?」

一度気になると、なかなか抜け出せない。
それに、エルザが自分のせいで不安に思っているのなら、どうにかしたい。
まずは何て話しかけようか。
いつになく緊張しながら、カウンターにいるエルザへ近づいた。




「エルザ」
「ん?どうした、ガジル」
「と、隣いいか?」
「あぁ、かまわないが」

エルザはいつものようにふわりと微笑み、ガジルの頬が熱くなる。
女々しいと思うのだが、この笑顔が好きでたまらない。
若干固い動きで隣の席に座り、エルザに向き直った。

「あの、な、聞きてぇ事があんだけど」
「私に?」

小首を傾げるエルザに何度も頷き、深呼吸。
大丈夫、言える。きっと言える。

「えっと…その…エルザは、俺といたら、不安だったり…するのか?」

ほら言えた!!
が、エルザはきょとんと瞳を瞬いてガジルを見つめるだけだった。
互いに無言の時間が過ぎ、まわりの喧噪がやけに耳につく。
ガジルの額に嫌な汗が滲んだ瞬間、エルザがゆっくりと口を開いた。

「ガジルは不安なのか…?」
「へ?」
「ガジルは、私といる事が不安なのか…?だから、そんな事を…!!」
「え、ちがっそう言う事じゃなく…!!」

プチパニックに陥るエルザに続き、ガジルもプチパニックを起して目を白黒させる。
あれ?何を話してたんだっけ?と本題がわからなくなった。

「だ、だってエルザばっかり好きだって言ってくるから、俺がどんだけエルザが好きか伝わってないんじゃないかと思って…!!」
「え…?」
「あ」

思わず口走った言葉に、ガジルは赤面した。
今、好きだと言ってしまった。
頭の中で自分の言葉が反響し、居たたまれない。
好き、とただ一言だけなのに、こんなにエネルギーがいるのだろうか。

「わ、悪ぃ!!今の聞かなかった事に…!!」
「待て!!」
「ギヒャッ!!」

立ち上がったガジルの腕を掴み、エルザが笑う。
その笑顔に見惚れ、動けなくなってしまった。

「お前がどれだけ私を想ってくれているかは、知っている。だから私は、言葉にしてお前に応えているんだ」
「ほ、本当に…?」
「あぁ。なら、もっと分かりやすく言ってやろうか?」

緋色の髪が揺れ、女性特有の甘い香りが鼻をくすぐった。

「愛してる、ガジル」

耳元で囁かれ、ガジルは耳まで真っ赤にして俯き、エルザに聞き取れる程度の声で「俺も」と呟いた。
不安だったのは、自分だけだったらしい。
幸せそうに笑うエルザを見て、ガジルも笑った。



E N D


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