伝えたい 桃くらむ様より相互記念
ガジルは街を歩きながら、ひとり悩んでいた。 そもそも自分は人と接することが苦手だ。 それなのに“恋人”ができるなんて、幽鬼の支配者にいた頃は考えられなかっただろう。 ガジルの頬がほんの少し赤くなる。 あいつは強引で自分勝手だ。でも、愛してると、伝えてくれる。 自分はどうだろうか。 いつも恥ずかしさが勝ってしまい、うまく伝えられない。 絶対に口には出さないが、いつだって自分の心の中にいるのはあいつだ。 どうすれば、伝えられるのだろう。
「おじさん、これください!」 「はいよ」
耳に飛び込んできた声に顔を上げ、声のしたほうを見る。 視線の先にあったのはとある店のショーウィンドウ。 ――これなら…! 何か思いついたようで、ガジルは早足で帰路についた。
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「珍しいな、お前から来るとは」 「あ、あぁ」 いきなりガジルが家に来た。 心なしか、顔が赤い。 「どうした?」 いつもなら絶対自分からは来ねぇのに。 「とりあえず入れよ」 「い、いや、今日はこれ、渡しに来ただけ、だから…」 …最後のほう、よく聞き取れなかったんだが。 ガジルはうつむき、耳まで真っ赤だ。 手にしていた包みを押しつけてきた。 「? これ」 「じゃ、じゃあな!」 「あ、おい!」 包みを受け取ると、脱兎のごとく走り去るガジル。 …正直、キスぐらいさせろよ、と思った。
「なんだったんだ、いきなり…」 ラクサスはリビングに戻り、渡された包みを見ていた。 今日は俺の誕生日でもなんでもないが。 とりあえず、開けてみることにした。 包みから出てきたのは、フェアリーテイルの紋章が彫られた鉄製のチャーム。 ガジルが作ったのだろうか。 見た目よりずっと軽い。 しかし急にどうしたのか、と何気なくチャームを裏返し。 そこに刻まれていた文字に、目が釘づけになった。 徐々に、ラクサスの顔に笑みが浮かぶ。 「可愛いことしてくれるじゃねぇか」 …明日は朝一番に会いに行ってやろう。
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ガジルは家に着くなり、ベッドに飛び込み顔をうずめていた。 包みを渡したとき同様、顔は赤いままだ。 「やっぱり慣れないことはするもんじゃねぇ…!」 自分の気持ちは、ラクサスに伝わっただろうか。 「…あーっ! くそっ、落ち着かねぇ!」 もう風呂に入って寝よう。 そう考え、ガジルは寝室を後にした。
今日は何の記念日でもないけれど。 いつもうまく伝えられないけれど。 ――いつだって、想っているから、伝えたかった。 『Thank you. I always love you. Gageel』
END
途中で少しラクサス視点から。 飛鳥様、遅れてしまいまして申し訳ありません! こんなラクガジでよろしければ…。 相互ありがとうございました!
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桃さん、素敵なラクガジをありがとうございます!! ラクサスが大好きなガジルが可愛すぎて呼吸困難です。こんなに想われるラクサスが羨ましい!! ラクサス、ちょっと場所代わろうか(殴)
こちらこそ、相互リンクありがとうございました!!これからもよろしくお願いします!!
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