伝えたい 桃くらむ様より相互記念



ガジルは街を歩きながら、ひとり悩んでいた。
そもそも自分は人と接することが苦手だ。
それなのに“恋人”ができるなんて、幽鬼の支配者にいた頃は考えられなかっただろう。
ガジルの頬がほんの少し赤くなる。
あいつは強引で自分勝手だ。でも、愛してると、伝えてくれる。
自分はどうだろうか。
いつも恥ずかしさが勝ってしまい、うまく伝えられない。
絶対に口には出さないが、いつだって自分の心の中にいるのはあいつだ。
どうすれば、伝えられるのだろう。

「おじさん、これください!」
「はいよ」

耳に飛び込んできた声に顔を上げ、声のしたほうを見る。
視線の先にあったのはとある店のショーウィンドウ。
――これなら…!
何か思いついたようで、ガジルは早足で帰路についた。


* * * * * * * * * *


「珍しいな、お前から来るとは」
「あ、あぁ」
いきなりガジルが家に来た。
心なしか、顔が赤い。
「どうした?」
いつもなら絶対自分からは来ねぇのに。
「とりあえず入れよ」
「い、いや、今日はこれ、渡しに来ただけ、だから…」
…最後のほう、よく聞き取れなかったんだが。
ガジルはうつむき、耳まで真っ赤だ。
手にしていた包みを押しつけてきた。
「? これ」
「じゃ、じゃあな!」
「あ、おい!」
包みを受け取ると、脱兎のごとく走り去るガジル。
…正直、キスぐらいさせろよ、と思った。

「なんだったんだ、いきなり…」
ラクサスはリビングに戻り、渡された包みを見ていた。
今日は俺の誕生日でもなんでもないが。
とりあえず、開けてみることにした。
包みから出てきたのは、フェアリーテイルの紋章が彫られた鉄製のチャーム。
ガジルが作ったのだろうか。
見た目よりずっと軽い。
しかし急にどうしたのか、と何気なくチャームを裏返し。
そこに刻まれていた文字に、目が釘づけになった。
徐々に、ラクサスの顔に笑みが浮かぶ。
「可愛いことしてくれるじゃねぇか」
…明日は朝一番に会いに行ってやろう。

* * * * * * * * * *

ガジルは家に着くなり、ベッドに飛び込み顔をうずめていた。
包みを渡したとき同様、顔は赤いままだ。
「やっぱり慣れないことはするもんじゃねぇ…!」
自分の気持ちは、ラクサスに伝わっただろうか。
「…あーっ! くそっ、落ち着かねぇ!」
もう風呂に入って寝よう。
そう考え、ガジルは寝室を後にした。

今日は何の記念日でもないけれど。
いつもうまく伝えられないけれど。
――いつだって、想っているから、伝えたかった。
『Thank you.
  I always love you.  Gageel』

END


途中で少しラクサス視点から。
飛鳥様、遅れてしまいまして申し訳ありません!
こんなラクガジでよろしければ…。
相互ありがとうございました!


*******


桃さん、素敵なラクガジをありがとうございます!!
ラクサスが大好きなガジルが可愛すぎて呼吸困難です。こんなに想われるラクサスが羨ましい!!
ラクサス、ちょっと場所代わろうか(殴)

こちらこそ、相互リンクありがとうございました!!これからもよろしくお願いします!!



目次

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -