打ちっ放しの硬いコンクリートに身体を預け遠く伸びた空を見つめる。雲の位置は高くなったし陽が落ちるのも早くなった。朝晩は長袖で過ごせるほどにもなったのに、今日はどうだ。季節外れでぶり返した気温と共に声を荒げた蝉の煩さが耳に届く。それを聞いた脳は思い出したかのように額と背中に汗を滲ませるのだ。夏はまだ終わっちゃいない。

「暑いですね」

スカートにしまっていたワイシャツを出して、出来た隙間から脇腹に触れる曽良くんの手は汗ばんでいる。暑いの苦手なくせに、なんだってこんな日に限って屋上で致すのか。そりゃあ、満足にキスをする場所すらない私達にはしょうがないことなんだけど。

「カーディガン着てきたけど、荷物になっちゃった」
「天気予報見ないから。でもまあ、無駄ではないですよ」

人の鞄を勝手に開けて、無理矢理詰め込んでいたベージュのカーディガンを取り出し私の頭の下に敷いてくれる彼の行動は思いやりか嫌がらせか。いや、コンクリートの砂利で汚れるデメリットの大きさを考えれば後者でしかなかった。

「赤くなっている」

立ってる時はスカートでギリギリ隠せていたのに、呆気なくずり上げられたせいで滑稽な虫刺されが露わになる。夏休み中は刺されることがなかったのに、授業中いつの間にやら刺されてしまい耐え相のない私は欲望のままに掻きむしってしまった。そのせいで患部はみっともないほど大きく腫れ上がっている。
太ももに置かれた曽良くんの指先が丸く腫れ上がった虫刺されの周りを円を描くように撫でた。それに爪を立てず、治まっていた痒みを促すようにやわやわと弄られれば早々に耐えきれなくなって、だけど伸ばした手は除けられもどかしい刺激だけが太ももから全身へと巡る。

「痒い」
「駄目ですよ掻いたら。痕になる」

だったら今すぐその指を退けてほしい。言い出す前に曽良くんの手が太ももから少しズレてスカートの中へと侵入する。履いていたスパッツの存在に気付くと彼は不服そうに眉を寄せた。

「する時は脱いでおけと言ったじゃないですか」
「そんなの無理だよ。曽良くん隙あらばどこでも襲うじゃん。今だって、こんなところですると思わなかった」
「せっかく二人きりになれる場所で、しないわけないじゃないですか。察しろ」
「わかんないよ、そんなの。そしたらいつもパンツだけでいる」
「そんな短いスカートの下を薄っぺらい布一枚で過ごすなんて許しません」
「理不尽!」

少し荒げた声に更に眉を寄せた彼は、否応なしにスパッツに手をかけパンツごと膝下までずり下げる。お日様の熱を蓄えたコンクリートは素肌で触れると少し熱い。頭よりお尻の下にカーディガンを敷きたい。学校の屋上でお尻を丸出しにしているという事実に更に身体は汗ばんで火照っていく。

「やだぁ…外の時はなるべく脱がさないでって…」
「貴女が悪い」

脚の間に座り込んだ曽良くんに、露わになるそこを二本指で広げられる。自分でもひくついてるのが分かるそこを何も言わずに見つめる曽良くんの視線が嫌だ。今この瞬間、夜になってしまえばいいのに。

「〜っ そらく、くすぐったい…」
「どっちが?」

やわやわと濡れそぼったそこを弄りながら、虫刺されも同時に刺激される。くすぐったいのと痒いのと気持ちいいの。どれも共有しているような感覚に陥って、気温の暑さも加わり頭は簡単に浮かされる。

「曽良くん、挿れて。あともっと強く掻いて」
「わがまま」

16時のチャイムが響き渡る。気づけば蝉は声を潜め始めていた。大きく伸びた影が告げる。夏はこれで終わり。



*Thanks request
夏と秋の境目で青春エロなお話
131115




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