霧に包まれたチョコと想い

不良の貯まり場である黒曜中も、バレンタインの時期になると、この時限りではあるが、普通の中学と同じく恋する乙女達の戦場と化す。


カップルが成立したり、別れたり、
はたまた義理チョコを渡したりと
みんなが皆思い思いの形でチョコを渡していく。

そんな中、机に座り俯く生徒が一人。


○○は今まで片思いをしていた相手に告白しようとしていた。

相手は最近黒曜中に転入してきたばかりの六道 骸だ。


『(あぁ…どうしよう…。告白しようと決心したものの、緊張するよ〜;)))』


いつも朝早くから学校に居る彼に
『今日の放課後、屋上に来て下さい!』と言って来た○○。
しかし、一日は川の流れの様にあっという間に過ぎ去り、気が付けば、放課後になっていた。




終礼が終わり、○○は不安と緊張を募らせたまま、チョコの入った紙袋を持って、屋上へと歩を進めた。

階段を上がると共に高鳴っていく胸の鼓動と告白への不安が比例している様だった。



ガチャッと屋上の扉を開けると、
北風の冷たさが肌に突き刺さる。

屋上を見渡すと、彼はまだ来ていないようだった。
○○は屋上の手摺り付近に立ち、下を眺めた。


下を見れば、カップル達が暖かそうに二人寄り添いながら、歩いている姿が目立つ。
『(私も骸くんとあんな風に帰りたいなぁ…なんて…)』
そう思い、心の中でクツクツと笑うと、
ふっと目の前が暗くなった。




「さぁ…誰でしょうか?」
優しく心地の良い声が耳元で聞こえる。


『骸…くん…?』
そう言って振り返ると、想いの人が立っていた。

綺麗な藍色の髪に、赤と青のオッドアイ。
イタリア育ちなだけあって、とても背が高い。




「それで…僕に用があるのでしょう?」

そう声を掛けられてはっとする○○。
思わず見とれてしまっていた。
○○は持っていたチョコの入った紙袋を骸の胸に突き付け、意を決してこう言った。



『これっ!!バレンタインのチョコ…。形悪いかもしれないけど…た、食べて!
あと………////、貴方の事が好きです!もし良かったら付き合って下さい////!!!』

息を切らしながら、自分の想いを骸に伝えた。
○○はドキドキしながら、骸からの返事を待つ。


骸は○○のチョコを受け取ると、

「おやおや…僕にチョコをくれるなんて予想外ですね…。正直驚きましたよ。
…僕が言おうとしていたことも先に言われてしまいましたしね…」

『……え///???(言おうとしてたことってどういうこと?)』




骸は○○に一言こう告げた。


「僕も貴女の事が好きです。僕で良ければ、OKですよ、クフフッ♪」















このあと、二人は幸せな時間を過ごしましたとさ♪




fin.

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