「――…シズちゃん…?」

キィ、と寝室のドアを開いて、薄暗い中を覗き込む。そして、ベッドの端に腰掛けている静雄の姿を認めた。

「――よ…よう、」

やや緊張した面持ちの静雄。
こちらに手を挙げて応えるも、どこかぎこちない。その様子に、臨也は頬が緩むのを堪えるのに必死だった。

――か、かわ…
つか…やっぱり用意してくれてたんだねチョコレート…!

「……で、俺に何の用かな」

平常を装い、あくまでも軽い調子でそう訊ねると、静雄はその手を背中側に回して何かを取り上げた。

「あの、な…これ……」

ゆっくりと近付いていく臨也の胸の辺りに、静雄が小さな箱を突き出した。


「……ゃ…やる…」


ずぎゅん

と、臨也のどこかでそんな音がした…かと思えば――頭で考えるよりも先に、静雄に抱き着いていた。

「――シズちゃんっ」
「い…いいぃ!!は、放せ馬鹿!!」
「ありがとう!ああ…馬鹿でもいいよ、だからお願い!抱かせて!!」
「何言って、!……んっ、ちょ…馬鹿――やろぉがぁああぁぁあああ!!」

もぞもぞと臨也の手が静雄の身体を這いはじめ、慌てた静雄が臨也を寝室のドアへ投げ飛ばしたときだった。


「宅配便でーす」

その声が遠くの方で響いた瞬間、びくりと全身が総毛立った静雄があたふたと寝室を飛び出ていく。
…その空間に一人、取り残された臨也は、フローリングに大の字のまま、静雄から貰ったチョコレートを食べ始める。

「……素直じゃ無いんだから、シズちゃんは」

ぶつくさと。
だが何処か上機嫌な雰囲気で。臨也はあくまでも愉快そうに愉快そうに――


「――まぁいいや、今日から家族も増えるしね。」

臨也がそう呟いた直後、廊下の奥で“静雄の”声がした。





「初めまして、デリックです。」








20110222




謎…(笑)






20110327
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