おしょーがつ! 前




「ちゅがるちゅがる!」
「なに?サイケ」
「ぱぱとままがね、いなくなっちゃった!」
「……ほんとに?」

ピンクと白の鮮やかな色彩のサイケデリック。対して、蒼と白の穏やかな配色の着物を身に纏う津軽。二人の子供たちは、まだ覚束ない箸遣いでおせちをつつきあっていたが、サイケが津軽にそう話し掛けた事によって、二人の興味は目の前の豪勢な料理から逸れてしまった。

そう言えば、先程からダイニングには二人だけ取り残されており、あとの臨也と静雄の姿は見えない。

津軽は不安気にきょろきょろと辺りを見回し、依然としてきゃっきゃとおせちをつついているサイケの方を見る。

「サイケ…」
「んー?ちゅがる、しんぱいなの?」

よしよし、とサイケが津軽の柔らかな金髪を安心させるように撫でた。そして、箸を握ったまま、ぎゅうと椅子の間隔を跨いで津軽を抱き締める。

「どこいっちゃったのかな…」
「そうだねー、いっしょにさがしてみる?」

ぐす、と目にうっすら涙を浮かべる津軽をあやすように背中を擦りながら、サイケがそう提案した。津軽はそれにこくんと頷き、二人は依然として箸を握ったまま椅子を下りた。

「よし!ぱぱとままをさがすぞーっ!」
「うん」


  ・・・・・


「ん、ちょ…っ…いざや」
「……なぁにーシズちゃん」
「津軽たちに見つかったらどうす…っは」
「気にしない気にしない…」
「馬、鹿…やろ……ふ、ぅっ」
「ん〜……」

サイケたちが臨也と静雄を捜しにダイニングを出た頃、二人はシャワールームで熱い口付けを交わしあっていた。臨也の方からの一方的なスキンシップではあったのだが。

先程までは、四人でおせち料理を食べていた二人だったが、先に食べ終えテレビを見始めた静雄の手を引き臨也がダイニングを離脱した事により、このような状況になっていた。
物珍しいのか、おせち料理に夢中になっていた子供たちの目をかいくぐってこの様な行為に至っているという背徳感が二人を襲い、それに興奮する臨也と、一方でそれに罪悪感を抱く静雄。

しかし、その静雄も何だかんだで大した抵抗をせずに人目につかないシャワールームにまで進出してしまったのである。勿論二人は服を着たままだ。

シャワールームには、そんな二人の異常な熱気が立ち込めていた。





続きます!!2011/01/02








20110310
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