ねぇねぇちゅがる!





※サイ津→子供
※イザシズ→父母
※という謎家族設定です(笑)





「ぱぱー!!」

パタパタパタ、と小刻みな忙しい足音が後ろからして、腰の辺りに鈍い衝撃が伝わってきた。俺はそれに苦笑して、短い腕で必死に掴まっているそれを振り返って抱きかかえた。

「どうしたーサイケ?……っていうか、どうしたの…その顔の黒いのは」
「えー?えーとね、えーっとね…」

小さなその身体を抱き上げてみると、サイケ――見た目は折原臨也そっくりにプログラミングされた人工知能を備えた子供ロボット――の顔や白い服の至るところに、墨のような汚れが付いているのに気付いた。
まだまだ経験的にも精神的にも成長過程であるサイケデリックは、時々こうして何処で遊んでいたのか、よく得体の知れない汚れを付けている事が多い。そう、まるで本物の人間の子供のように無邪気で、無知で、そして無垢だった。ええと、と接続詞を延々と繋げながら、思考を体系的に言語化している作業も、端から見れば本当に人間の子供のよう。

臨也自身あまり子供は好きでは無かったけれど、思ったより相方の方が気に入ってくれたので、今では臨也も愛情のようなものが湧いている。
小さな指を下唇に当てながら「えーっとね?」と繰り返す動作も、外見が自分であるとはいえ可愛らしくて微笑ましい。

すると、あっ!と何かを思い出したように目を輝かせた。

「あのねあのねっ!ちゅがると『かきぞめ』してたの!」
「書初め?」

突拍子の無いワードに首を傾げていると、奥の方からトテテ、と小さな足音が聞こえてきた。




2010/12/16









2011/02/22
拍手文から移動


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -