臨也くんが思うこと。



※仔臨也
※長男静雄、次男幽、そして何故か三男臨也


シズちゃんは、ときどきおかしい。

「うぉぉぉおおおおっ!!」

どかぁん、と、どこかとおくの方ですごい音がした。きっと、またシズちゃんが何かをこわしたんだ。

おれのとなりにいるもうひとりのおにいちゃん、かすかくんは、さっきからぼうっとして何を考えているのかさっぱり分からない。

「…またキレたみたいだね」

じぃっとみつめていたら、きゅうにしゃべりだしたからびっくりした。

「う、うん…」
「……」

ぽん、とあたたかい手があたまの上にのっかって、なんだかそれが、かえろうかって言ってるみたいで、そのあと、おれはかすかくんといっしょに家にかえった。


今日の夕はんには、おれの大きらいな、あまいにんじんが入っていた。ハンバーグだけでいいのに。なんでいっつも入ってるの、コレ……。

だまったままおれがフォークをくわえていると、お母さんがすききらいしちゃだめよって口からフォークをとりあげて、それにおれのお皿にぽつんとのってたにんじんをさして、あーんするみたいにさしだしてくる。

「いやだ」

にんじんもいやだけど、小学生にもなってお母さんにあーんされるなんて、はずかしいからいやだ!となりのかすかくんが、おれをちらっと見て、またべつの方を向いた。

おれがずっと顔をそらしてたから、お母さんはあきらめてにんじんがささったフォークをおれのお皿においた。

……よかった…

おれがホッとしたときだった。

なにかものすごい力ではなをつままれて、ものすごい速さで口の中に何かをつっこまれた。

「!?」

おれはびっくりして、それがシズちゃんだって分かって、ふさがれた口から「なにすんだ!」って言おうとした。
だけど、シズちゃんの手に口をふさがれてたからむりだった。
はきだせないし、おれはしかたがなくて、一生けんめいにんじんを少しだけかんで、全部のみこんだ。

ごくん、ってのどが動いて、シズちゃんがやっと手をはなしてくれた。
おれはなみだが出そうで、「しね」って言ってやった。あまいのににがい!まずい!しぬ!

そしたら向かいがわのシズちゃんは、すごくすごくやさしい顔で、


「食べられるじゃねえか」



って笑った。

ちょっとどきっとして、それからまた「もう食べない!」っておこったけど、本当はうれしかった。

…あんなやさしい顔、久しぶりに見たな

って。


さいきんはケンカしてばっかりのシズちゃんだけど、本当は――とってもやさしい。

かすかくんも、こっちを見てほんの少し笑った気がした。



やっぱりおれ、お兄ちゃんラブ!









最後を言わせたいが為に……!
でもぶっちゃけ、兄臨也+子シズの方がもえる気がしたのでいずれそっちの方をシリーズ化するかも知れません……!





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テーマ「人外ファンタジー」
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