囮捜査はほどほどに タイトル未定 [1/1] 「へえ。そんなに凄い捕物劇があったんですね。僕も見たかったです」 暢気(のんき)にそんなことを言う遠藤の体のあちこちには、未だに包帯が巻かれ、絆創膏が貼られている。 「お前なあ、そう部外者みたいなことを言うなよ」 そう言って苦笑っているのは進藤で、藤堂は遠藤が淹れた珈琲に静かに口をつけた。 遠藤が捜査一課に戻って来て、早くも数日が過ぎた。遠藤が負った怪我の具合は思っていたより酷く、数日はベッドから動けなかった。 ただ不思議なことに痛みは全くなく、動くことが出来るようになると直ぐ退院も出来たのだ。 「それにしても、死んでもまだ復讐を果たそうとするなんて怖いですね」 どうやら今回の犯人の三田村は性犯罪者を13人殺害しようと計画していたようで、志し半ばにして死刑が執行されたことで、どうした訳か三十年ぶりに犯行を再開したようだった。 「結局は11人ですか。二人、足りませんね」 実は進藤はそのことが少し気にかかかっていたが、お祓いもしたことだし、もう再犯はないと言えるだろう。念願のお茶汲みに戻った遠藤は、 [*前へ][続く#] 5/5ページ |