『マ…マルコ…?』 「ナマエどうしっ……!?み、見るな!」 『ジャン…!マルコがぁ…!!』 「見れば、わかるっつーの…!」 エレンが岩で壁の穴を塞いで少しして、遺体の確認や回収をしている時だった。ジャンと2人で行動していた時、ふと目の前に一つの遺体があった。 それはよく見るとマルコの遺体で、顔の右半分と腕もなくなっていた。とても酷かった。 少し遅れてマルコを発見したジャンは、一瞬止まり、我に返って私に見せないようにと思ったのか、素早く手で目隠しをしてきた。 『あ、う…、マルコォ…』 「う、嘘だろ…?」 『ジャン、見えない…。マルコが見えないよ…』 「離して、いいのか?」 『…うん』 ジャンの手がゆっくりと離れていった。目に光が入ってチカチカする。 私はチカチカが収まるまでその場に立った、そしてゆっくりとマルコに近づく。最後に彼のこの左手を握ったのはいつの事だったかな…?喧嘩をしてて、最近は触っていなかった。触ってなかったどころか話もしていなかった。 『マルコ…』 「……」 『マルコ…、くだらない事で喧嘩しちゃってごめんね…?』 「喧嘩、してたのか?」 『ぅぐっ…!ひっく、、』 くだらない事で喧嘩をしてしまった。一緒に憲兵団に行こうって、それで結婚しようって言ってくれたマルコ。調査兵団に入って少しでも巨人を駆逐したかった私はその言葉を素直に受け取らなかったのが原因。全部私のせい…。 こんな事になるなら、喧嘩なんかするんじゃなかった。 後悔ばかり 『ごめん、ごめんなさい…!』 「…っ、」 もう絶対に後悔はしたくない、そう思った。 *** 朝、下駄箱で見かけた後ろ姿は見間違えるはずがない!あれは… 『マルコー!!』 「ナマエか、おはよう」 『おはよー!今日もかっこいいね!愛してるよ!』 「そうかな?…でも、僕は愛してないよ」 『うん!知ってる!』 前世の記憶がある私は、マルコを高校で見つけた時とても嬉しかった。(ジャンもいて嬉しかった!)けど、マルコには前世の記憶がなく、私のことを苦手としている。やはり原因は前世の私のせいだと思う。(ジャンは気にするなって言ってくれたけど) 『ねぇ、ジャンのところまで、早く行けた人が勝ちね!』 「僕はやらないよ」 『そう?じゃあ私1人でやる!』 そう言ってマルコを置いて走った。 まさかマルコが私を嫌いになるなんて思ってもいなかったから、最初の方はすごく傷ついたけど、もう慣れた!!後悔はしないって決めてるの!だから、がむしゃらに前に走るだけ! とは思っていても、それはそれは辛いわけで…出てきそうな涙をぐっと堪えていた。 『ジャンどこかなー』 「どうかな?まだ来てないかもよ?」 『やっぱり?あいつ遅刻気味だもんね…え!?マルコ!?』 「…なに?」 あれ?てっきりマルコ置いて来たと思ったんだけど…なんで一緒に走ってるの?私のこと嫌いなはずなのに… 「勘違いするなよ?僕はナマエが好きじゃない」 『勘違いもなにも、わかってるよ、そんな事…』 「……」 ふとマルコを見ると、なぜか悲しい顔をしてた。そんなに私が嫌い?なんで?調査兵団に入るって言ったから? わからない、何をそんなに怒っていたんだろう… 考え事をしてたら、階段を上がった所で足がもつれ、後ろに倒れていった。何かに掴まらないと!と手を伸ばしたところ、誤ってマルコの腕を掴んでしまった。 これではマルコが怪我をしてしまう…! 「うわっ!!」 『うぐっ!!』 前は助けてあげられなかったけど、今なら貴方の盾代わりになれるよ、たとえ私の事が嫌いでも… 「…いてて、っ!ナマエ!?大丈夫!?」 『マルコ、大、丈夫…?』 「な、なんで…!」 おかしい?女が男を守るなんて。 でも好きなの、愛してるんだよ昔から。マルコがいない世界は寂しかったし、つまらなかった。それに時が流れるのが遅かった。あの時守れなかった分、貴方を守りたいの。これからもずっと、、 「き、君は!なんで昔からそうやって命を捨てる行動をするんだ!!なんでだよ!僕はナマエに少しでも長生きしてほしいから憲兵団に行こうって言ったのに…!!調査兵団に行ってほしくなかったんだ…!!ずっと、ずっと僕の隣にいてほしかった…!僕が死ぬ時も、本当は、隣に、、いてほしかった…っ!!!」 『マルコ…?貴方、前世の記憶が、あるの…?』 とても驚いた。マルコには前世の記憶なんてないと思っていたのに…記憶があったのだ。 彼のつぶらな瞳から大粒の涙がどんどん溢れてくる。もちろん私も…。 彼の怒ってる理由が今やっとわかった… 『マルコ、寂しかったよ…』 「ぼ、僕は怒ってるんだぞ!」 『それでも!会えて嬉しいの…!!』 「…ごめん、困らせてごめん」 『マルコ!!』 私は上に跨ってるマルコの首に腕を回してギュッと抱きしめた。ずっと、マルコが死んでからずっとこうしたかった。たくさん後悔した。 マルコも私の背中に腕を回して、頭を撫でたり、嗚咽が出てる私の背中を優しく摩ってくれた。 「…記憶がないフリしてごめん、好きじゃないなんて言ってごめん、愛してないって言ってごめん。本当はナマエが好きだよ、愛してる」 『私もっ、マルコを愛してる…!』 「高校を卒業したら今度こそ結婚しよう?」 『うん、結婚する!!』 遠くからジャンがこの出来事を微笑みながら見ていた事は誰も知らない 2014.09.04 [prev] | [next] |