プリンのように甘く



「名前!!」

『なに?』




居間でとても美味しいプリンを食べていたら、キッチンの方から怖い顔をした静雄が私を呼びながら現れた。




「なんで俺のプリン食ってんだ?あぁ゙?」

『は?違うよ!これは私のプリンだよ!!ちゃんと名前書いたもん!ほらっ』




疑ってくる静雄に、プリンの容器に書いてある自分の名前を見せる。
じーっと見てくるが、それがわかるとジロリと私をみた。なぜ疑いが晴れないのか…




「…俺のプリンねぇぞ」

『知らないよ、食べてないからね』

「…嘘はつくなよ?」

『はぁ!?嘘じゃないから!なんで私が食べたって思うの!?』

「…お前ぐらいだろ?俺のプリン食べれるの。一緒に住んでんだし」




な、何それ!一緒に住んでるからってだけでプリン食べた事疑われるの!?
信じられない、静雄ってそんなに心狭かったんだ、知らなかった!!




『私じゃないもん!静雄のバカっ!!』

「あっ、おい待て!!」




なんであそこまで疑うの!?本っ当信じられない!!
長い間一緒に住んでるのに酷い奴だよ!!2度と帰るか!あんな家!!

私は静雄の前から走って去った。




『もう!一緒に住んでるからって私を疑うのはひどいよ…静雄のバカバカバカ!!』




家からだいぶ離れた暗い道を歩いている。ただ少し怖かったりする。オバケとか出てこないよね…?やっぱり1人は怖いなー…




「おや、シズちゃんの悪口?いいね、俺も入れてよ」

『!?…お、折原臨也?』

「やっほー名前さん」




急に声をかけられたから、オバケが出たのかとビックリして心臓止まるかと思った。
よく見ると電柱の影に折原臨也が立っていた。まったく気づかなかったな…




『…ども』

「あれ、めちゃめちゃ避けられてる?」

『そんな事…』

「ないんだ、じゃあいいよね!俺が名前さんと手を握ろうか抱きつこうが構わないって事だ」

『(うーん、こうゆうの苦手だな…)』

「シズちゃんもいない事だし、今がチャンス?」

『…は?』

「優しくするよ、だから俺の家に行こうか」

『いや「優しくするよ」じゃないから!意味わかんない、来るな!』

「このチャンスを俺は狙ってたんだ」




臨也は近づいてくると私の両手首を掴んできた。私は身動きがとれず、そのままコンクリートの塀に背中と掴まれている腕が当たる




『嫌だ!!やめてよっ!!!』

「俺ならシズちゃんより優しく出来るのに?」

『こんなやり方は優しくない…!!』

「へぇ…」

『やめて!』

「可愛いんだね」




ダメだ、この人に何言ってもまともに聞いてはくれない。誰か助けてください!!!一生のお願いです!助けてください!!!




「ぐあっ!!!」




すると突然、左から勢いよく飛んできたコンビニのゴミ箱が臨也に当たった。

こんな事できるのは…




「てめぇ臨也!名前に何してんだっ!!!」

『静雄…』

「まいったな…、シズちゃんが来るとは…」

「てめぇだろ、俺のプリン盗んだの…」

『…えっ!?』

「うん、そうだよ。よく俺だってわかったね」

「お前なら俺達の家くらい入れんだろ。気持ち悪ィな…」

「フフフ。褒め言葉をありがとう」

「…それとなぁ、名前に2度と近づくんじゃねぇ!!次はぜってぇー殺すからな!!!」

『静雄…』

「はいはい、わかったよ」




臨也は私達に背を向けると、手をヒラヒラさせながら暗闇へと消えていった。
ちょっと、さっきと違ってあっさりと消えて行くんですね…




『…静雄、ごめんね?』

「いや、俺も疑って悪い」

『大丈夫』




大丈夫って言ったのに、静雄は私を宝物のように優しく抱きしめてきた。
彼の慣れない行動に胸がドキドキいう…




『静雄?』

「なぁ、プリン買いに行こうぜ?んで2人で一緒に食べような」

『うん!』




コンビニに寄り、プリンを買って家に帰るとすぐ食べ始めた。
その後は、プリンのような甘〜い夜を過ごしたのである







end.

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