ウザいよ兄様



「だーれだ」




こんな事するのはバカ兄貴しかいないわけで…




『臨兄』

「正解!おはよう、名前は凄いな」




いやいや凄くない凄くない。バカ兄貴は昔から無駄に絡んでくる。言わゆる“シスコン”って奴だ




『はよ…』

「名前、今日は帰ってくるの遅い?」

『うん、文化祭準備があるから』

「わかった、じゃあ校門で帰りを待っているよ」

『こ、校門で!?ま、待たなくていいよ大丈夫だからっ!!』

「はははっ、名前が“待たなくていい”って言われても待つからねぇ」




ま、まじで!?
兄貴の言うことはマジでやりかねない…
はぁ、またか









***



『ふぅ〜』




なんとか1人で終わった!
これで、明日は無事に文化祭が出来る…




『よし、帰ろう』




私が廊下に出たと同時に、聞き覚えのある声が私の名前を呼んだ。
まさか、そんなはずはない…まさか!?




「名前ー!!」

『やっぱり臨兄か…』

「名前、何もされてない?大丈夫?」




臨兄がこちらに走ってくると、私の肩を掴み軽く前後に揺らされた。
ちょっと昨日と話が違いますけど!?校門で待ってないじゃん!




『だ、大丈夫だから…手を、はな、離して…!』

「名前は可愛いから」

『いい加減シスコン卒業しろよ…』




兄貴に軽くツッコミをいれると、後ろからこちらに向かって走ってくるような足音が聞こえた。




「折原ぁー!!」

「『はい?』」

「えっ?」

『ちょっと、臨兄じゃないよ』

「わかんないよ?俺かもしれないじゃん」

「あの、名前の方…」

『あっ、なんですか?』




明日の生徒会の会議の事で那須島先生と話をしていると、突然兄貴が間に割り込んできた




「先生さぁ、なんだか俺の妹に馴々しくなーい?」

「へ?」

『はぁ?』

「さっきから、いやらしい目で見てるけど…まさか他の生徒にもそんな目で見てるのかな?」

「な、なんだ!君は!!」

「折原臨也、折原名前のお兄さんです」

「お、お兄…さん?」

『臨兄、いい加減にしないと私シズちゃんのところに行くからね』

「え、だめ!!絶対に阻止する!あんな怪力バカのところに行くなんて考えられない!俺の大切な妹を!!」

『…もう』

「お、折原?」

『すみません、今日はもう帰りますね』




兄貴を置いて帰ろうとした時、那須島先生が私の手首を掴んできた。あーあ兄貴の前で私に触ると恐ろしい事になりますよ?




『なんですか?先生』

「話があるんだ」

『なんのです?』

「あの、その「はいはいそこまで」」




兄貴は右手で那須島先生の手首、左手で私の手首を掴むと、強制的に離した。
兄貴の目が笑ってない




「だめだよー」

『臨兄?』

「那須島先生…、俺の目の前で名前に手を出すとはいい度胸だねぇ」




不気味な笑顔を浮かべて、ニヤリと笑っている




『なに言ってんの?』

「名前は鈍いね、こいつは可愛い可愛い俺の妹が好きなんだよ。俺が誰だかわかってて妹に手を出してるのかな?そんな事、許されない事だよ!
俺は妹の前で人を殴るのは苦手でさ趣味じゃないんだよねぇ…。それに、大切な妹を変な女に傷つけさせたくなんだ。だから君の情報を屋上から落とし、この学校から去ってもらう事にするよ」

『あっ、臨兄!!』




臨兄はそういうと屋上に向かって走りだした。私も臨兄について行く。それを聞いた先生も私達を追いかけて走る









‐屋上‐



「お、おい!やめろ!!」

『臨兄、危ないよー』

「名前に手を出そうとしたんだ。これぐらいはしないと、ね?」




臨兄は柵を乗り越え、わずかない足場に立っていた。そして、どこに隠してたのか、持っていた写真を屋上からバラまいた




「やめろぉぉぉぉぉお!!」

『ん?何これ』




写真の一枚が私の足元に落ちた。それを拾う




「お、折原!見るんじゃない!!」




そこに映ってたのは、女子生徒と先生が腕を組み、仲良く写っている2人がいた




『…だれ?』

「これから名前を殺そうと襲ってくる変な女だよ」

『え?』

「て、てめぇ…!!」

「あはははははっ!!君なんだかシズちゃんみたいだね!!名前、シズちゃん呼ぼうか?こんな奴、生きていたって俺も名前も悲しまない…」

『それはやりすぎだよ』

「ふふふ…、やりすぎか。名前に言われたら止めるしかないなぁ。君は名前に助けられたのと同じだね感謝しなよ」

「さっきのシズちゃんって誰だよ!」

「俺だけどテメェが“シズちゃん”言ってんじゃねぇ!!」

「ぐはっ!!!」




いつの間にか先生の後ろに“平和島静雄”が立っていて、那須島先生に腹パンを決め込んだ。なんだ結局呼んでるじゃん




『シズちゃん!』

「よぉ、名前」

「シ、シズちゃん?名前に手を出すなっていわなかった…?」

「はぁ?誰がテメェの言葉なんか聞くかよ!…ってかいつまでも名前を束縛してんじゃねぇ」

「死ね」

「テメェが死ね!!」

『はぁ、当分帰れそうにないな…』







ウザいよ兄様
(シズちゃん、名前がもうすぐ狙われる
(はぁ!?なんで!?
(この先生と付き合ってた変な女が名前を殺しにくるんだよ
(………
(そこで、手をくまないかい?
(あ?
(臨兄…
(何?名前が死んでもいいの?
(わ、わかったよ!


end.

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