かわらない愛



『あ、梓さん…!』

「…名前、こんな夜遅くにどうしたの?」

『えへへ、お帰りなさい!』

「…まさかそれを言うために起きてたの?」

『はい!いつもお疲れ様です』




梓さんは人気声優さんだそうです。絵麻がそう言ってました。
絵麻と観ていたアニメに梓さんと椿さんが出ていたそうです!!




「ありがとう、だけど…遅くまで起きてるのには感心しないな」

『え、…ごめんなさい』

「あはは、嘘だよ。本当は名前を抱きしめたいくらい嬉しい」

『っ、!?』




家族のみんなには秘密なんですけど、実は梓さんと恋人なんです。
だから二人きりになると、甘えてきてくれたり、甘い言葉を言ってきたりするんです。…恥ずかしくて耐えられないです




「…部屋まで送るよ」

『え!?いいですよ!勝手にいたの私ですし!』

「鈍いね、一緒にいたいって事なんだけど…」

『っ、じゃ、じゃあお言葉に甘えます』

「ん、いい子だね」




半年前、家族と旅行に出かけた時に梓さんがずっと私の隣にいた。海に入る時も、食事をとるときも、車で移動する時もずっと。
私はその時から梓さんが好きだったからすごく嬉しかったのを覚えてる。偶然ってすごいな!って思った


けど、その日の夜ー…
部屋に来た梓さんがー…




「…名前、もし、嫌じゃなかったらなんだけど…」

『はい…』

「僕と、付き合ってくれないかな…?」

『……へっ!?』

「初めて家に来た時からずっと見てた。君だけを見てきた。僕の傍にいてほしい、隣で笑っててほしいんだ」

『あ、ずさ、さん…』

「…ダメ、かな?」




この時、初めて梓さんの事を可愛いと思えた。かっこいいのに可愛い。
そして今に至るわけだけど、よくバレないできたな…




「あっれー?梓と名前だー!」

「椿…」

『お、お帰りなさい!』

「たっだいまー!…じゃなくて!二人で夜中にどうしたの?あ、まさか…部屋であんな事やこんな事すんじゃ…!?」

「椿!」

『っ!?』




私と梓さんが!?あんな事やこんな事…
無理無理無理!!!恥ずかしくて出来ない!




「あはは!うそうそ!…ってあり?名前顔真っ赤ー!超かわいい〜!!」

『か、からかわないでください!』

「…名前、行こうか」

『は、はい!』

「椿、もう遅いしこの辺で」

「あ、うん!じゃーねー」




椿さんと別れて部屋に来たのだけど、梓さんの様子がおかしい。
後ろから抱きしめられてる。顔が見れなくて少し不安になる




『梓さん…?』

「……」




返事はなく、代わりに強く抱きしめられた。
どうしたんだろう…




『…梓さん?』

「…ごめん、僕らしくないね」

『どうしたんですか?』

「…嫉妬したんだよ、椿に」

『椿さんに…?』




どこにそんな嫉妬する場所があったんだろう…?
考えても、わからないや




「名前の可愛い顔が、椿に知られた事に…嫉妬した」

『か、可愛い顔!?』

「うん、それだよ。真っ赤になって照れるところ。僕だけに向けられてたのに…」

『…梓さん』

「…何?」

『私今、梓さんの新しい一面に嬉しく思います!』

「…本当に君は可愛いんだから」

『ふふ』




この日を境に、梓さんの態度が変わった。
いや、悪い方向ではないんだけど…何て言うのかな?




「あー!!梓ずりぃ!俺も名前と手繋ぎたいぃー!!!」

「ダメ」

「えぇー!!!ケチー!梓のケチー!!」

「何とでもどうぞ」




みんなにバラさずしてたのに、まるでバラそうとしてる感じ?
嬉しいんだけどね!恥ずかしいんだよ!?




「…あーちゃん」

「あ、かな兄おかえり」

「ただいま、…じゃなくて、これはどういう状況??」

『……』

「名前を抱きしめてる」

「うん、それはわかるんだよね」




みんながいるリビングのソファで梓さんの間に入って後ろから抱きしめられてるこの状況。恥ずかしくて死にそう!




「あーちゃん、独占欲強い男は重いよ?」

「…名前、僕…重い?」

『…っ、嬉しい、ので…大丈夫ですっ、』

「ほら、かな兄心配はいらないよ」

「……」




そんな悲しい顔で見られたら、NOと言えるはずがない!それに嫌でもないからNOと言えない!!
要さんは呆れてどこかに行ってしまった。




『あ、梓さん、なんか積極的すぎじゃないですか…?』

「…だって、もう隠すの嫌だし」




私の頭に顎を乗せる梓さん。
なんか、だいぶ甘えてくるんですけど!キャラ少し崩壊してるんですけど!!




「ふふ、本当に名前は可愛いね」

『っ、』




心臓がもたない!ってか顔が近い!!
肩に顎乗せないでください!近すぎて…!
うう、心臓に悪いよ〜!




「…梓って名前の事好きなの?」

「……」

『……』




ほら!やっぱそう言われた!
椿さんに何て言うのかな?何て言えばいいのかな…?




「…何言ってるの?もう付き合ってるんだけど」

「!?」

『!?』




そ、そうきたかー!!!
どうすんの!?椿さん目がまん丸なんだけど!!恥ずかしい恥ずかしい…!!




『あ、の…』

「だから椿、名前に気安く触らないでね」

「…えぇ!?付き合ってたの!?いつから!?いつからなの!?」

「旅行に行った時」

「え!?結構前じゃん!!なんで黙ってたんだよー!卑怯者ー!!」

「だって、兄弟達にからかわれて名前にギクシャクしてほしくなかったし。でも今ならもう大丈夫かなって思って言った」

『梓さん…』

「それに、誰にも触られたくないから言った」

「くっ…!!」




梓さんって意外と大胆…






20150508

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