貴方を知っていく



下校時間、廊下に出ると部活に行くであろう彼の背中を見つけたので声をかけた




「…なんですか?」

『突然ごめんなさい。竜ヶ崎くん好きです、付き合ってもらえませんか!?』

「…は?…失礼ですが、僕は貴方という人を知りません。ので、無理です」

『じゃあ知ってください!』

「忙しいので無理です」




彼は止めてた足を再び動かした。ので、私も彼の後ろに続く。

竜ヶ崎くんは、私のクラスメイトで、私の好きな人!もうね、一目惚れだよ!めっちゃ見た目タイプなの!!
でも…性格がちょっと頑固で…




『私は苗字名前です!』

「はぁ」

『名前って呼んでね?』

「呼びません。最低苗字さんです」




くっ…!不意にも名前(苗字)を呼ばれるとは…!ドキドキしちゃう
つか歩くの速い…!




「いつまでついてくる気ですか」

『え!?部活に行ってもいいの!?』

「そんな事誰も言ってません」

『途中まで一緒にいる!』

「…好きにしてください」




しかし、なんだかんだ竜ヶ崎くんは優しいという事がわかった。
今のところ「顔はカッコいいけど性格が頑固で少し優しい」っと…頭のノートにメモしとこう




「じゃあ、僕はこれで」

『またねー、無表情の竜ヶ崎くん!』

「む、無表…っ、気をつけて帰ってくださいね」

『う、うん!!』




やはり優しい。
根は良い人なんだろうなぁ…ますます好きになってしまった!頑固は置いといて

夜、今日の出来事を母に報告したら、押してダメなら引いてみろとか言われた。けど話し始めて1日しか経ってないから、押してダメとかまだわからないし、引くってなに?状態だよ…

明日竜ヶ崎くんに会う為に、今日はもう早く寝るとしよう!!
おやすみGood Night!




「……」

『竜ヶ崎くんってカナヅチなんだね』

「カ、カナヅチじゃありません!僕は!バタフライしか泳げないだけです!!」

『それはそれで凄いけど…』

「カナヅチとは心外です」

『ごめんなさい』




翌日の昼休み、嬉しい事に竜ヶ崎くんからご飯に誘ってくれた。こんな事この先あるのだろうか!と思うくらい嬉しかった。
屋上で一緒に食べてるんだけど、綺麗になってるプールが見える。あそこで竜ヶ崎くん達 は部活に取り組んでるんだ…




『でもさ、真剣に取り組めるものがあっていいな〜』

「苗字さんにはないんですか?」

『…竜ヶ崎くんを愛すること』

「なっ!?そ、そういうことじゃなくて!」

『…ない、全然ない!だから竜ヶ崎くんが羨ましい』

「……」




あ、あれ?しんみりしちゃった…




「…苗字さんは、歌が上手いので羨ましいです」

『へ?』

「……」




う、歌が上手いって…?
私竜ヶ崎くんの前で歌ったことあったっけ?
いや、ないよ
昨日話したばかりだもん




『なんで、歌上手いとか、知ってるの?』

「…貴方を知っているからです」

『え、だって昨日知らないって言ったじゃんか!!』

「知ってました」

『な、何それ嘘ついてたの!?』

「はい」




なんだろう、嘘つかれてもムカつくとか思えない。逆に嬉しく思います…




「言っておきますけど、僕は貴方の事なんでも知ってるつもりですよ」

『え!?私まだまだなのに!?』

「…片想いの歴が違います」

『れき…?』




竜ヶ崎くんは、お弁当を床に置くと私の隣から前へと移動した。そして頬に手を添えられた




「入学式の時から名前さんを見つけ、恋に落ちました。なので僕は貴方の先輩にあたります」

『…先輩』

「なんでしょう」

『…もう一度告白させてください』

「ダメです、僕がします」

『はい…』

「それでは…。名前さん、貴方の事が好きです、僕と付き合ってはくれませんか??」

『よ、よろこんで!』




彼は私にキスを落とす…







20141018

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