オオカミ少年



「あぁ〜!名前ちゃん美味しそうなの飲んでるね!ちょっと頂戴?」

『うん、いいよ』

「わーい!いただきまーす!」




廊下でさっき買ったイチゴ牛乳を飲んでいると、前から渚くんが現れた。渚くんは私からイチゴ牛乳を受け取ると、ストローに口をつけて飲んだ。
間接キスをされた事にちょっとドキドキする。自分らしくないな…




「うん!やっぱり美味しかった!ありがと名前ちゃん」

『ど、どういたしまして』

「あ、まこちゃんだ!おーい!まーこちゃーん!!」




表情がころころ変わる渚くんに少し驚いていると彼は私から視線を離し、私の後ろを見た。
まこちゃんって?仲の良い女の子かな?
振り返ると、そこにいたのは…背のデカイ優しそうな見知ったたれ目の男の子。




「あれ?渚!」

「1年生の階にいるの珍しいね、どうしたの?」

「ちょっと人を探してて……あっ」

『…っ、(ま、まこちゃんって…た、橘先輩の事だったの!?)』

「苗字さん、だよね…?今日こそはちゃんと会議室に来てね?」

『…はい』




そんな悲しい笑顔をされれば反抗できるはずもなく、頷くことしかできなかった。
すると後ろから渚くんの何かしら負のオーラ?が漂ってきた。なんだ、この黒いオーラ




「…ねぇ、まこちゃん。僕には話が見えないんだけどぉ、詳しく教えて?」

「言ってもいいのかな?…苗字さんは赤点ばっかりらしいから会議室で先生と勉強するはずだったんだけど、彼女は先生達から逃げるって聞いたんだ」

『に、逃げるなんて…』

「勉強してないって事に変わりはないでしょ?それで俺、苗字さんと全然関わりないのに先生に頼まれたんだ」

「ふ〜ん、なるほど…」




あれ?橘先輩に迷惑と思われてない?
だいたい赤点って言われたって真面目に勉強してなかっただけで、本気でやったら赤点じゃないからね?




「って事だから、今日こそは来てね?先生じゃなくて俺が教えるから大丈夫」

『あ、ありがとうございます…』

「ちょぉーっと待ったぁ!!!」

「『?』」




渚くんが手を挙げて間に入ってきた。橘先輩と向かい合わせになる渚くん。




「ねぇまこちゃん!君のその役目、僕にやらせて!?いいでしょ!?」

「え、うーん、でも」

「大丈夫だよ!僕は名前ちゃんと仲良いし!逃げたりなんかしないし!ちゃんと勉強教えるから!ね?」

「…そうだね、渚に頼もうかな」

「やったー!ありがとまこちゃん!!」




な、なんだろ、急に展開が変わった。
この後橘先輩と別れ、放課後会議室に集合する約束をした。渚くんだったら逃げはしないかな

そして放課後…




「はぁ、危なかったぁ〜」

『何が?』

「だって、あのまま僕が代わらなかったら名前ちゃんとまこちゃんがこの部屋で2人きりになってたって事でしょ!?」

『そうだね』

「そんなの考えられないよ!」

『あはは、なんでよ』

「だって僕は名前ちゃんが好きだから」

『え?』

「だーかーらー!僕は名前ちゃんが好きなの!まこちゃんと2人きりになるなんて許さないんだから!!」

『……あ、はい』




え、今の告白…なの?告白でOK??
てかね、渚くんがジリジリ迫って来るんですよね。これ以上机があってもう下がれないや…




「僕としてはさ、勉強より違う勉強した方がいいと思うんだよね」

『は?』

「名前ちゃんの体に教えるんだよ」

『へっ?』

「名前ちゃんは僕のものなんだからね!」

『私は物じゃない…』

「うん、知ってるよ?僕のモノ、彼女って意味だから。さてと、体に教えてあげるね!それから勉強しよう!」

『えぇ!?私の返事も聞かずに!?』




覆いかぶさってきた渚くんに少しばかりの反抗すると、真っ黒な笑顔から真顔に変わった。なんだこの子!!




「…名前ちゃんは僕の事好きでしょ?」

『…まぁ』

「なら問題はない!オッケーだね!」

『ええ!?』

「お勉強ー開始ぃ〜!」




この後は、ご想像にお任せします…
渚くんって見かけによらず狼だったのね…






20140921

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