〇で始まり〇で終わる



『ま、正臣ぃ…歩けない』

「……」




私達は海に来ている。もちろん2人だけじゃないよ?帝人と杏里ちゃんと正臣と私で来てる。けど、帝人と杏里ちゃんとは別行動してるんです。
まだ海の季節ってわけじゃないんだけど、ただ海で遊びたいだけだからって正臣に誘われたので来ちゃいました!この季節じゃ人もあまり少ないし、ちょうどいい




「大丈夫か?ってか何で何もない所で転けるかね…」

『う、うるさい!』

「それじゃ、しっかり掴まれよっ!」

『え?』




突然浮遊感が襲ってきたと思ったら、正臣が足を挫いて歩けない私をお姫様抱っこしていた。
これじゃパンツ見える!




「あ、暴れるなって!」

『だだだだって…!恥ずかしいよ!』

「…今日は俺の誕生日なんだから、少しは言う事聞け」




え?
誰が今日誕生日だって?




『ま、正臣…今日誕生日なの…?』

「あれ?知らなかった?しょうがないな…そうさ今日が俺の誕生日」




あ、だから今日「海行こう」ってしつこく誘ってきたんだ…
全然知らなかった…




『あの、ごめん…プレゼントない』

「そのへんはいいよ、名前達と海来れただけで楽しいから」




今更だけど、やはり正臣の顔が近い

近くで見ると正臣ってカッコいいんだな…
男のくせに羨ましいほど肌綺麗だし、髪の毛金髪のくせしてサラサラだし、色々と整ってるよね




「…そんな見られると困るんだけど」

『え?あ、ごめんっ!』




私そんな見てたの!?うわっ恥ずかしいっ…!
正臣の頬もほんのり赤くなっているのがわかった。話を変えよう




『あ、重くないの…?』

「ん?全然軽い方だぜ?まるでペーパーだな」

『それはないでしょ?』

「まぁ確かに」




ってかいつまでお姫様抱っこされるんだろう…。そろそろ本当に恥ずかしくなってきたよ?




『正臣、もう降ろして?』

「え?やだ」

『や、やだって言われても…』

「じゃあ、名前がある言葉言ってくれるまで降ろさない」




ある言葉…?




『誕生日おめでとう?』

「それも嬉しいけど、もっと他の言葉!」




な、なんだろう…
何を言えば喜ぶんだ?正臣だからなぁ…




「勝手に降りたらキスするからな」

『キ、キスゥ!?』

「うん」




コイツよく恥ずかしがりもせずにスラッとそんな事言えるよね!恋人でもないくせに!本当にチャラいんだから…




『なんだろ?』

「早くー!“ス”で始まって“キ”で終わるものー」

『ス……キ………あれ?』

「俺もー」

『んなっ!?ちょっ…!どういう事!?わけわからないんだけど!!!』




なんか私が正臣に好きって言ったみたいになってるっ!!
コイツはめやがったな!!ムカつく!




『ち、がう…!!』




チャラい男にはめられたのにムカついて慌てて正臣から離れた。すると、正臣は真剣な顔を私に向けてこう言った




「降りた」

『え?』

「勝手に降りた」

『あ…』




そうだ…さっき言われたんだった!!今のがムカついちゃって忘れてた…




『で、でも…!はめてきた正臣が…!』

「キスしちゃうから」

『え、えぇ!!恋人じゃな、』




近づいてくる正臣から後退りするも、挫いていることを忘れていて砂の上に尻餅をついた




『いたっ…!』

「大丈夫か!?」

『あ、うん』




正臣が駆け寄って心配してくれる。こっちの正臣がいい、さっきの小悪魔だよ…




「でも…」

『ん?』




何事かと思えば、正臣の顔がだんだんと近づいてきた。
私はなぜか拒むことができず、柔らかい正臣の唇が私の唇へとかさなった。
恋人でもないのに…




『!?』

「名前の唇は頂くぜ?」

『……』

「い、いやだった…?」

『ふ、ふぇ……うっく…』

「わわわ!泣くなって!!わ、悪かったよ…!」

『ち、ちがう…!う、嬉しかった…の…』

「え?」




正臣に顔を埋めるようにしがみついた。
泣いてる姿をあまり見てほしくないから




「可愛いな…」

『ばか…!恋人じゃないのに!正臣好きだけど、恋人じゃないから、嬉しいけど複雑…!』

「なら大丈夫だよ、俺も名前が好きだ。今日は最高のプレゼントもらってばっかりだ」

『いいよ、誕生日くらい甘えて』







〇で始まり〇で終わる
(苗字さんと紀田くん遅いな…
(どこにいるんだろう…

(名前!もう一回チューしよう!!
(う、うん…


20130619

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