いつものこと



『臨也のバカ!もう知らないんだから!!』




俺は、のんびりソファーに座ってTVを観ていると、金髪少女が突然家に入ってきた。いきなり何だと思うと急に怒鳴り始める少女




「なーに怒ってんの?」

『お兄ちゃんに怪我させて何が楽しいの!?』




なーんだ。
そんな事で怒ってんのか、そんなの今に始まった事じゃないでしょ。
高校生の頃からいつもの事じゃない




「…いや、こっちも怪我させられてるし」

『バカバカ!付き合う時にお兄ちゃんと喧嘩しないって約束したじゃん!!臨也の嘘つき!!』

「はぁ…あのさ、別に俺が喧嘩をふっかけてる訳じゃないんだよね」

『…っ!で、でも、怪我させるのはダメ!』

「名前は何?…シズちゃんの味方なの?彼氏の俺には味方じゃないの?」

『…そ、それは、』

「シズちゃんの話は聞いて、俺の話は聞かないの?それで一方的に俺だけを責めるのはどうかと思うけど」

『ご、ごめん…』

「ホント、俺をイラつかせるのが得意な兄妹だよ」

『……』

「君ってシズちゃんに似ててムカつく。その顔見てると本気で傷つけてやりたくなるよ」

『!?』




俺の彼女、平和島名前の手が震えている。
うーん、ちょっと脅かしすぎたかな?
でもね、名前がいけないんだよ?シズちゃんの話だけはちゃんと聞くんだから




「名前?」

『ご、ごめんなさい…』

「謝らないで」




俺はソファーから立ち上がり、名前の前まで歩く。それから手のひらで彼女の頬を優しくそっと撫でる




『…っ!』

「大丈夫だよ、ホントは傷つけたりしない」

『……』

「バカだね。こんなに大切なのに傷つけるはずがないじゃない」

『い、臨也…?』

「いいかい?君のお兄さんと喧嘩をするのは、もう日常になってるんだ。だから我慢しろって言われても出来ない。それに、シズちゃんに怪我をさせたら必ず君はここに怒鳴りに来るだろ?それが嬉しくて嬉しくて仕方がないんだ」




普段かけることがない甘いセリフを言うと顔を真っ赤に染めて照れている名前を可愛いと心の中で思いながら優しく抱き締める




『ごめんね、臨也…』

「イラつかせるけどね」

『……』




俺たちは甘い甘いムードを楽しんでいたが、突然壊れたんじゃないかってくらい玄関の扉が勢いよく開く音が部屋中に響いた。
次は誰だよ…




「いぃぃざぁぁあやぁぁぁあ!!!」




はい。やっぱりね、怪力バカの登場だ
今いいところなんだから来るな




「あぁ、やっぱり玄関壊れちゃったよ…弁償してよね」

「あぁ?誰が弁償するか!っつかそれより名前返せっ!!」

「返すわけないだろ?…そうだなー、シズちゃんが弁償しないなら名前に弁償してもらうよ」

「『はぁ!?』」




俺は名前の腕を引っ張り、彼女の唇に自分の唇をゆっくりと合わせた
つまりは…




『っ!?』

「……っ…」

「ぷはっ、これで弁償はチャラにしてあげる」




キスだよ




「い、いぃぃざぁぁあやぁぁあ!!!テメェェェエ!!殺す!絶対に殺す!!」

『……』

「あははは!」




顔が赤いよ名前、そんなに俺とのキス嬉しかったのかな?
まぁ、さっきの事は今ので許してあげたつもりって事だから、そこんところよろしくね







20130220

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