金魚すくい



「おせーぞ」

『ごめんごめん!!女の子には色々と準備っていうもんがあるからさっ!』

「わかってるよ。名前はいつも遅刻するもんな」

『なによ、人を遅刻魔みたいに言わないでよね』

「へいへい。早く行くぞ」

『らじゃぁぁあ!!』

「声でかっ」




こんばんは!!
私は苗字名前です!
私にツッコミを入れてくれる彼は門田京平です




「紹介はもっとマシなのにしろ」





…イケてる門田京平です




『つーか、人のモノローグに入ってこないでよ京平さん』

「“さん”つけんなキモいから」


『…女の子に“キモい”は失礼過ぎる』

「ごめん」




簡単に謝られても困るんだけどねっ!!












***



『うわっほい!来たよ京平ー』

「子どもじゃねーんだから騒ぐな恥ずかしい」

『はぁ?京平が大人過ぎるだけでしょ!』




京平の隣をテンション上げながら歩いていると、彼はある屋台を見つけた




「おっ!金魚すくい」

『結局あんたも騒いでるじゃんよ』

「それとこれとは別だ」

『どれとどれよ!』




私達は金魚すくいの屋台に向かって歩き始める。
いつもより目をキラキラさせている彼




『おじさん、これやっていい?』

「おうよ!君達何回やるかい?」

『んー、京平と私で2回…でいいかな?』

「それがいいな」

「了解だ!じゃあお願いね、お2人さん」

『はーい!1回目は京平からね?対決だよ!』

「ほいほい、俺言っとくけどな、金魚すくいは得意だからな」

『えっ!?』




その言葉通り京平はなんと紙が破れるまで23匹の金魚をすくった




『達人並だわ、早く言えって…』

「おい、言葉使いには気をつけろ」

『お前は私のオカンか!』




まぁ、私は金魚すくいなんてあまりやった事ないし?結果負けましたよね




『くーやーしーいー!!』

「な、なんだよ名前って負けず嫌いだったか?」

『おじさんもう1回!!』

「はいよ!!」




何度やっても京平の23匹に勝てるわけもなく、お金だけが財布から消えていく




「おい!!そんな金使って電車代とかあんのか!?」

『知るか!!そんなもん必要あるかってんだ!!』




絶対に勝ちたい…!!
勝負で京平に1回も勝てたことないんだもん…!




「…下手だな。こうやるんだよ」




京平が私を包みこむように後ろから、私の両方の手を掴んできた。
え!?いきなりなんですか!?




『きょ、京平…くん?』

「なんで今更“くん”付け?いいか、こうするんだ」




ヤバイヤバイヤバイ

京平!それどころじゃありませんよ!!
抱きつかれてるみたいですごく照れるからやめて!!いい匂いだな…じゃなくて!おじさんめっちゃこっち見てるから!!




「おい、聞いてるか?」

『き、きききいてます』

「?、どした?顔真っ赤だぞ。熱か?熱あんのか?」

『ち、違います!いたって平常です!!』

「そうか?ならいいや」




わわ、忘れてたぁぁぁあ!
京平は天然のタラシだったんだ!!どーしよ…む、胸がドキドキする!!!
し、思考、回路が……




「…名前?」

『……ヘヘ…』

「あの、お嬢ちゃん気絶してるけど…」

「!?」








金魚すくい
もう2度と京平と金魚すくいしないと心に誓った私でした。
電車代は京平に出してもらいましたよね。はい。


20150311

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