オジサン





「名前、ご飯できたけど食べるか?」

『食う』

「…ほら、食べろ」

『ん』




言っておくが、ここは俺ん家じゃねぇ…彼女ん家だ。だいたい何で毎回俺がコイツの飯を作らなきゃいけねぇんだよ!普通逆だろ!?
前から思ってるけど…、名前って性格がオジサンだよな。もっと女らしく出来ねぇのか…?




『ん、コレ美味い』

「あ、ありがと…」




可愛いの欠片もねぇな。
あ、でもモグモグしてる辺りは可愛い、かも…




『大我ー、見てないで食いなよ』

「てめぇに言われなくても食べるっつーの!!」

『ふぁんふぁほー、ほぉふぁいふぁー(なんだよー、怖いなー)』

「食べながら喋るなっ!」

『ふぁーい』




もっとさ、彼氏の前では可愛く振る舞うってのが女じゃねぇの…?
名前なんて…、Tシャツにミニパンツってなめてんのか!?俺も男であって、ムラムラするのは当たり前で…!




『あー、食った食った…。大我ー眠くなったー』

「じゃあ寝てろ。…ごちそうさま」

『お、タイミングバッチリ!ここに来てー』




名前は椅子から降りるとカーペットの上に座り、床を叩きながら俺を呼んだ。
仕方なく近寄った。




「んだよ」

『正座してー』

「ん」

『ぴょーん!』

「!?」




正座すると、彼女が俺の太股に頭を乗せてきた。
これは、恋人同士がする膝枕ってやつ…!?




『おやすみ』

「…いや、おいっ!ちょっと待てっ!!」

『…なに?胡坐がいいの?なら胡坐でどーぞ』

「そういう問題じゃ…!」




でも、だんだんと足が痺れてきたから胡坐に変えた。
それからもう一度話をかけると、コイツはもう寝てやがった…




「…こういうところは可愛いんだけどな」




後はもうオジサンだ。
いや、マジで寝顔可愛い…。はぁ、いつの間にか名前の頭撫でてるし、母親か俺は…




「まぁ、これぐらいはいいよな…」

『………ンッ…』









***



『た、大我…』

「んー?」




名前が寝てから30分が経った。俺はその間に食器を洗って片付けようと、名前の頭を優しく枕に置いてキッチンへと向かった俺。

それから数分経った今、後ろから俺の名前を呼ぶ声が聞こえた




『大我…、なんで傍にいてくれないの…?』

「…え?」




いつもより甘えん坊の名前に驚き、いったん手を止め振り返った。
いつもは見せない泣きそうな顔をしながら立っていた




「お、おい…?」

『大我が、傍にいなかったから…、怖い夢見ちゃった!』

「!?」




その言葉と同時に、俺の背中に抱きつく彼女。
はぇ?…な、なにこれ!
か、可愛い!いつもよりすっげー可愛いっ!!




『大我のバカ!』

「ちょ、もう…、お前がバカだっつーの…」

『私から離れて、他の女の子と腕組んで歩く大我なんて、見たくないよ!私から離れていかないで…』

「わかったわかった」

『グスッ、わかってないでしょ…?』

「はぁ、お前マジ可愛すぎて離れられねぇよ…」

『…大我大好きっ!』

「お、俺も…」





オジサン
(大我の趣味悪いね
(う、うっせぇ!



20130724

- back -


[prev] | [next]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -