わかってた



「あのさ、別れてほしいんだけど…」

『…いいよ』

「…悪りぃな」




全部知ってた。
大輝くんに好きな子が出来たことくらい。でも私に悪いからってずっと私を好きなフリをしていた事くらい。結局幼馴染みには敵わないんだ。
大輝くんの口から別れを聞きたかったから、私からフる事はしなかった、けどやっぱ辛い




『はぁ…』




大輝くんのいない生活がまた始まるんだ。
学校ですれ違ってももう話す事も、目を合わせる事も無くなった。
あんなに楽しかった高校生活が、今はもう辛いだけ。
そして時々見かける桃井さんと大輝くんの姿…その光景を見るのだけは胸がぎゅっと締め付けられるように痛かった。




『……』

「あーおーみーねーくーん!ほら!部活行くよー!」

「…んだよ、めんどくせぇな」




そんな事を言ってても、少し嬉しそうな大輝くん。同じクラスって嫌だな…
前は「おら、帰るぞ」って大輝くんが私の所まで来てくれたなーとか、手も繋いだなーとか、ボーッと考えながら鞄に教科書をしまって教室を出た。


わかってる、ちゃんと現実を受け止めないといけない事くらい。
でも、こんなに好きになっちゃったのに、どこに気持ちをぶつければいいの?
大輝くんの事、忘れたいけど忘れたくないよ…




『ふぅ…、っ、うっく!』




私は家に向かう途中、全ての思いを体から出すように涙を流した








20150412

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