『大ちゃーん!大ちゃーん!』 「…っ!?」 中学校から一緒にいる大ちゃんに話をかける。中学の時、元気で優しかった大ちゃんは今はまるで荒くれ者みたいになってしまった。放課後のバスケの練習には出てこなくなった。 『バスケしよー!大ちゃん!バスケ!』 「…うるせぇ、しねぇよ」 「あ、名前さん」 『桜井くん!ちょうどいい所に!一緒に大ちゃんを体育館に連れてこ?』 「はぁ?ふざけんな!」 「ひぃ…!」 大ちゃんは桜井くんの胸ぐらを掴んで威嚇していた。そんな荒くれの大ちゃんは慣れたから全然怖くないもんねー!! つか桜井くん可哀想だから離してあげなよ 『大ちゃん離しな!』 「…チッ」 「…す、すいません」 『はーい!大ちゃん行くよー!』 「うるせぇ!俺にさわんな!」 反抗する大ちゃんに構わず、腕を掴んで体育館まで引っ張った。 桜井くんはビビりながらも手伝ってくれた。優しいなぁ 『みなさーん!大ちゃん連れてきましたー!』 「くそっ」 「わー!名前ありがとう!」 「チッ、ほら!早く離せ!!」 私が掴んでいた方の腕を勢いよく振り払われた。 『…いたっ、』 「俺は帰る」 『えぇ!?なんで!?せっかくここまで連れてきたのに!!』 「うるせぇ!お前は俺に構うな!」 『なんで!?私は関わっちゃいけない理由でもあるの!?教えてよ大ちゃ…』 「うるせぇつってんだろ!!!」 向かい側にいた大ちゃんは、私の背後にある体育館の扉をおもいっきり蹴った。突然響いた大きな音にみんながこっちに注目する。 私は突然の出来事に焦っていた。 『…だ、大、ちゃん?』 「…てめぇ、いい加減にしろよ。構うなっつったら 構うな。それに大ちゃんなんて呼び方もすんじゃねぇ」 『え、で、でも…さつきだって…』 「うるせぇ口答えすんな!!」 『…っ、』 大ちゃんが変わり始めてからいつもこう。なんで私にだけ当たりが強いの…? さつきにはそんな態度取らないのに…。 私の事嫌い、だから…? 「大ちゃん、流石に言い過ぎだよ…」 『…もう、いいよ』 「あ、名前!?」 『大ちゃ…青峰くんに二度と話しかけないから安心して!大っ嫌いだバーカ!!』 「………」 走って体育館を出て、校門をくぐる。 知らない知らない知らない!!!さつきと2人で仲良くやってればいい!!青峰くんはいつもさつきの事しか見てないんだから…! 私の事なんて…これっぽっちも見てくれない…。 幼馴染みじゃないから…?? 泣くのを堪えて、家に帰った。 翌日 「名前…?」 『あ、さつき!おはよー!』 「お、おはよう…」 『じゃあまた放課後ねー』 「う、うん、また…」 さつきが心配してる。顔見たらすぐわかる…。 最低青峰くんに会わなければ大丈夫!それ以外いつもと同じなのさ! 「…おい」 『……』 えぇ…最悪、さっそく出会っちゃった。 『…おはよ、青峰くん』 「てめぇ、ふざけんなよ」 『はぁ?ふざけてんのは青峰くんの方でしょ?』 「あ?」 『…っ、も、もううるさいな!友達やめたんだから気安く話しかけてこないで!』 顔がいつも以上に怖い…。私、青峰くんに気づかないうちに、何か酷いことしちゃったのかな…? そう思いながらも青峰くんの前から去った。 けど、彼に腕を掴まれてそれは叶わなかった 「待て!その…」 『…なに?早く教室行きたいんだけど』 「…なんでもねぇよ」 『じゃあ話しかけてこないでよ…』 「…っ、わ、悪かった!!」 『…え?』 珍しく申し訳ない顔で青峰くんが謝ってきた。 これは、本当に珍しすぎる…。 掴まれた手が離れない。 「昨日は、悪かった!その…イライラしてて言い過ぎた」 『…いいよ、青峰くんに馴れ馴れしかった私がいけなかったから』 「青峰とか呼ぶのやめろ、虫唾が走る」 こんなにワガママな男だったのか…。 大ちゃんも青峰くんもダメならなんて呼べはいいの? 「…大輝でいいだろ」 『え、うん…』 アッサリ仲直り。ほんとアッサリだわ… 『大輝!はやく部活に行くよ!』 「めんどくせぇな」 『また桜井くんに頼もう』 「…行く」 『私はさ、バスケしてる大輝が好きなんだから!ちゃんと見せてよねー』 「…おう」 「前から思ってたけど大ちゃんってホントに名前が好きだよね…。ずっと前から名前で呼ばれたくて、長年のイライラを昨日爆発させちゃうし、ホントバカ」 「おい!さつき!!」 さつきがボソボソと独り言を言っている。私には聞き取れなかったけど、大輝には聞き取れたみたい。すげぇや 「名前さん!」 『あ、桜井くんだ!』 「…おい良、てめぇ名前に気安く話しかけんなよ」 「ひぃ!す、すいません!!」 『さ、桜井くん!?』 大輝が近くにいると、必ず男子は何かから逃げていくように去って行くことが多くなった今日この頃… 20140928 [prev] | [next] |