幽体離脱しました



「名前ちゃん」




私は今日も彼に名前を呼ばれる。
いつも何故かとても悲しそうに笑う、私はそんな顔見たくない




『なに?』

「好きっスよ」

『私は好きじゃない』

「いつまでそうしてるつもりっスか?」

『涼太くんが、楽しそうに笑うまで』




ずっと彼の目の前に座っているのに、涼太くんは一度も私と目を合わせようとはしない。いつも目線は斜め左下




「…いい加減にするっス」

『……』

「…っ、いい加減にしないと俺怒るっスよ!?」

『なんで泣くの?』

「早く起きてよ!!目を覚ませよ!!!寂しくて死んじゃいそうっス…!」

『…お、きてるよ』




魂はー…
私の体は硬く目を閉じている。これが、幽体離脱ってやつなんだ…
だから涼太くんは斜め左下にある私の顔を見ているんだ。だから悲しく笑うんだ。起きないから泣いてるんだ




「好きなんスよ!?こんなにも名前ちゃんを愛してるのに…!起きろよ!!もう何日目ぇ覚ましてないんだよ!」

『ごめん…』

「っ、好き、好きだよ名前…!」

『私も、涼太が好き…』




そこで幽体離脱中での意識は飛んだ。




「また…明日くるっス」

『………た、』

「…え?」

『…涼太、私も、愛してる…』

「名前、ちゃん…!?お、起きたんスね!?看護婦さん呼ばなきゃ…!」

『まって…行かないで、涼太…』




何がきっかけだったのだろう。魂が数日眠っていた体に戻ったのだ。
やっと涼太と目が合った。愛しい彼の顔




「名前ちゃん…?」

『好き、私も好きだよ涼太』

「!?」

『…ふふふ、顔真っ赤だね』

「…ありがとう名前ちゃん!」




あぁ、私はこれが見たかったんだ、輝いた彼の笑顔をー…






20140921

- back -


[prev] | [next]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -