卒業式の別れ



『は、はなみや、せんぱいっ!!』

「…泣くなブス」

『卒業、おめでとうございます…!』

「言葉と顔があってねぇよ」

『だ、だってぇー!!』

「汚ねぇ」




今日は3年生の卒業式。
仲の良かった今吉先輩もいなくなって、1年後の今日、花宮先輩もいなくなってしまう。寂しい…寂しすぎる!私の卒業式は今日の1年後にあるけど、花宮先輩が学校にいない1年なんて過ごせない!死ぬ!死んじゃう!




『花宮先輩…さようなら!』

「さようなら」

『たぶん、会うことないと、思います…』

「…で?」

『…それだけ、です』

「そりゃせいせいするわ、お前がいない学校生活が楽しみだ」




私に背を向けて歩く先輩。
わかってる、先輩が私に興味がない事くらい。それでもめげないで頑張ってきた。それは同じ学校だったからで、別々の高校に通う事になれば私はもう頑張れない。恥ずかしいしね…。
それをわかってて、あえて桐皇を選んだ。
これで、本当にさようなら、です




「いつまでぼさっと突っ立ってんだ、置いてくぞ」

『え、あ、はい…』

「…俺は別にどこの高校に行こうがお前、名前の勝手だ。ただ、今吉の所に行くんだったら俺のいる所に来いよ」

『…え?』

「…なんて、言うわけねぇだろバァカ」




先輩の口癖はいつもの憎たらしさはなく、爽やかな感じがした。
それに頭をポンポンと何度もされる。まるで泣き止め、霧崎第一に来いと言っているようだった




『先輩、好きです』

「…勝手に言ってろ」

『来年は、また頑張りますね!』

「はいはいっと…これ、やるよ」

『?』




手ぇ出せって言われたから言われた通り手を出すと、何か小さい物が先輩の手から私の手に落ちた。
こ、これは…




「俺の心臓から1番近いボタンだ」

『い、いいんですか!?』

「いいんですかって…もともと、名前にしか渡す気なかったからな」

『嬉しいです!』

「お前以外に、俺の心臓やれるかよ」




そう言った先輩の顔はカッコ良くて、これは一生離れられない気がした。
大好きです、先輩







【卒業式の別れ】
(私、霧崎第一に行きます!
(そーかよ
(そっけない…。「今吉の所に行くんだったら俺のいる所に来いよ」って真剣に言ってくれたのは誰なんでしょうかね?
(なっ!…チッ、ムカつく野郎だぜ
(野郎じゃありません、乙女ですぅ!


20140319

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