あるリズム



『ねぇ緑間ー』

《なんだ?》

『電話越しじゃなくて、普通に会いたいんだけども』

《それは無理だ。だいたい、電話出来ている時点でありがたいと思え》




もう3ヶ月も緑間に会ってない…。
連絡もあまりしてくれない、誰と何処で何してるんだろう…




《…なにか騒がしいのだよ。名前今どこにいる?》

『えっと…、駅近くの、一昨日まででかいクリスマスツリーがあった所』

《…は?》




って言っても緑間は知らないかもね、一緒にクリスマス過ごしてないし…。過ごせたらここに連れて行きたかったのになー

ベンチに座ってるのは言わなくてもいいか…




《…遅くなる前に帰るのだよ》

『…はい』

《じゃあ切るぞ》

『うん、ばいばい』




プツッと向こうの電話が切れる。ツー、ツーと一定のリズムで流れる音。その音になぜか悲しくなった。

緑間に会いたい…


私は携帯をポケットにしまい、手袋をはめてない手もポケットに入れた。




『…さむっ』




私の前を通って行く人々は幸せそうなオーラ全開で歩いてる。
正直羨ましいとは思う。あんな仲の良いカップルとか見てると、緑間とあんな風になれたらな…って思うし、幸せだって感じる事があるんだろうなって思う




『…緑間』




そろそろ別れどきなのかな?そりゃあバスケで忙しいのは知ってるけど3ヶ月もほったらかしだもん、飽きたとか、倦怠期突入したのかも

どちらにせよ、悲しいな…




『…真太郎…』




別れたくないな…、でもズルズル引きずってたら緑間が可哀想だし…。別れを告げられたら潔く前から消えよう。
だから最後に恋人としての緑間に会いたいな




『…真太郎、好き。大好きだったよ』

「そんな事、こんなっ…、公共の場で言うな…。はぁ、はぁ……っ」

『え…?』

「…ふぅ、やはりここか。というか、なぜ過去形なのだよ」

『み、緑間…!?』




なんで、ここに緑間が…!
背後から来るから全然気づかなかった…。それに、息切れしてる…。というより…、3ヶ月ぶりの緑間だ…




『み、緑間なんで…』

「さっき遅くなる前に帰れと言ったはずだが」

『だって…』

「だってじゃない。夜遅くなって、もし誘拐されたり、変な奴に捕まったらどうするつもりなのだよ」

『…ごめんなさい』




久しぶりに会ったのに説教ですか…。




「いつまでいるつもりだ?」

『…後少しだけ』

「わかった」




緑間は返事を返すと、私の隣に座ってきた。
少し距離があるのは仕方がないとして、恥ずかしい…




「…1人でいた時は名前で呼んでたくせに、もう苗字に戻ったな」

『そ、それは…』

「わかっている。お前は寂しい時だけ、俺を名前で呼ぶから…」

『…え?』

「もしかして、気づいていなかったのか?」

『…うん』




知らなかった…。自分にそんな癖があったなんて。


真太郎は私達の間にある距離を少しだけ縮めた。だから私も少しだけ縮めた。私達の肩が触れ合うまで後5センチ




『………』

「………」

『………』

「………」

『…ちょっと、緑間が縮めてよ』

「な、なぜ俺がそんな事…」

『私もう心臓がヤバイから』

「………」




すると緑間は一気に距離を縮めて、私を抱き締めてきた。
自然と耳が、緑間の心臓辺りにくっつく。


緑間の心臓が私の心臓と同じリズムだった。




「…俺の心臓も、結構危ないぞ…」

『………』

「幸せだなと思うのは俺だけか…?」

『…3ヶ月、ほったらかしだったくせに?』

「…連絡をしなかった事は謝る。だが最近まで試合や合宿等で忙しかったのだよ」

『…そっか』

「悪かった。だから、過去形ではなく現在進行形にしろ」

『うん、大好きだよ真太郎』




私の事、嫌いになったわけじゃないんだ。




『でも、試合なら応援に行かせてくれても良くない?』

「…ダメだ。俺が試合に集中できなくなる」

『なんで?』

「…名前が近くで応援していると思うと、浮かれる自分がいるからだ」

『緑間…』

「だから、困る…」

『でも、そんな事言われたら逆に行きたくなっちゃうな』

「話を聞いていたか?」

『だって、私のせいで浮かれてる緑間見てみたいもん!』

「…っ、バカなのだよ…」





あるリズム
(ねぇ緑間ー
(…なんだ?
(好きだよ、大好き
(…っ、俺もだ



20131227

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