バカップルすぎる



『征ちゃーん』

《名前からなんて珍しいな何かあったのか?》

『ないけど、今部活帰りでね、空見てるんだけどオリオン座があったのー!』




征ちゃんは少しして、電話の向こうでクスッと笑った




《…偶然だな、僕も空を見ていたところだ。》

『え?そうなの?…以心伝心かな?』

《以心伝心だな。ところでオリオン座をみつけた》

『じゃあ私達、今別々の所で同じの見てるんだね!』

《あぁ、そうだな》




征ちゃんは、今優しく笑っているに違いない。だって声が優しいから。


彼は京都に行ってから月に2.3回電話をくれる。
私はお金があまりないからたまにしか電話が出来ない。つまり、征ちゃんの声が聞きたくても聞けないのだ




《…名前、夜道に1人なのか?》

『ううん、弟がいるよー』

《弟さんがいても気をつけないとダメだ》

『わかってまーす。早く家に帰るよ』

《じゃあまた》

『またねー!』




征ちゃんとの電話が切れた

耳から携帯を離すと、ふと寂しくなった。声を聞いたばかりだけど、征ちゃんに直接会いたくなる。
だから電話ってあまりしたくない。終わった後涙が溢れ出てしまいそうになるから…




「…姉ちゃん大丈夫?」

『うん、大丈夫っ…』

「…会いたいって言えばいいのに」

『だって…、征ちゃん忙しそうだから…』

「あーあ、早く結婚してくんないかな!玉の輿なのになー」

『そ、そういう事言わないの!!』

「へいへい」




2人で話ながら帰っていると、弟が「恥ずかしいやり取りだったね」と顔を赤らめながら言った。
そんな恥ずかしい会話してたかな…?









***



『ふわぁ…』




まだ眠くって、目を擦りながら学校までの道を歩いていた。




「おはよう」

『…?』




誰かに挨拶されたなと思って顔をあげると、目の前にいたのは声だけじゃ物足りなく、ずっと会いたかった人物だった。




『……』

「どうした?」

『征、ちゃん…?』

「なんだ」

『…え?なんで、いるの?』

「…名前に会いたかったからだ。当たり前だろう」

『……』




すると征ちゃんは、私の手を取って歩き始めた。
あ、あれ…?学校と反対方向なんだけど…




『せ、征ちゃん私学校が…』

「もう学校に話はついてある。あと名前の両親にも」

『……』




なんと弟が気をきかして、征ちゃんとの電話を終えて家に着いた時、私に内緒で電話したみたい。
なんで征ちゃんの電話番号知ってるんだろう




『征ちゃん、どこに…?』

「名前の家だよ」

『征ちゃん…』

「どうした?」

『征ちゃんっ…』

「…少しの間だけだぞ。ここだと人目につくから」

『うん!征ちゃん会いたかったよ…』




私は征ちゃんに抱きつくと、顔を彼の胸板に押しつけた。うん、優しい彼の匂いがする…




「少し、恥ずかしいな…」

『征ちゃん大好きっ!ずっと会えなくて寂しかった…』

「すまない」

『ずっとこうしてたい…』

「あぁ、今から名前の家でたくさん甘やかしてやる」

『いつまで…?すぐ帰っちゃうの?』

「悪いな。今日の夕方には帰らなければならない」

『うん、いいよ。来てくれただけでも嬉しいから!』




贅沢言って征ちゃんを困らせたくないから、もう何も言わないでおこう。




「贅沢を、言ってもいいかい?」

『…え?うん、いいよ』

「名前、僕と結婚してくれないか?…今はまだ未成年であるから無理だがな」

『え?け、結婚…?』




結婚って…言ったの?誰が?征ちゃんが?

顔を上げると、征ちゃんは私の頬に手を添えてきた。




「ずっと名前の傍にいたい。歳を重ねていっても…傍で君の笑顔を守りたい」

『せ、征ちゃん恥ずかしいよ!』

「恥ずかしいだと?僕は本当の事を言ったまでだ。何も恥ずかしくはない」

『でも嬉しいよー!私も征ちゃんと結婚したいな。ずっと一緒にいられるんでしょ?』

「はは、そうだ」

『…じゃあ、誓いのキス、ください』




何言ってんだろう自分。自分で言って顔赤くなっちゃった…。
やっぱりやめた!




『や、やめた…』

「…んっ、」

『んっ』




あ、れ?唇に柔らかい何かが…
というか、せ、征ちゃんの顔が近いっ!あ、もしかしてキスされてるの!?




「…これで、名前は僕のものだ」

『…な、ななななにして』

「名前が言ったからな…」

『征ちゃん、かっこよすぎだから…』

「うっ、も、もう家に行くぞ」

『はぁーい!』








【バカップルすぎる】
(征ちゃん、帰るのね…!
(あぁ、また会いにくるよ
(ふぅ…!また、ね!
(名前、好きだよ
(わたし、も!好き…!
(それじゃ…

(コイツらバカップルすぎんだろ…(←弟)



20140220

- back -


[prev] | [next]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -