執事とメイド



「名前っちー、文化祭俺と一緒にまわらないっスかー?」

『デルモの仕事が無かったら考えてもいいよー』

「なら大丈夫っス。仕事ちょうどないし」

『へーへー、わかった』




もうすぐ文化祭。
クラスの出し物は「執事メイドカフェ」で、ありきたりで申し訳ないのだけども…。
まぁ、衣装集めや店の準備やらで忙しい中、黄瀬が話しかけてくる。
お前も手伝えよデルモ




『…手伝え』

「嫌っス。名前っち好きっスよ」

『はぁ…、私も好きだから手伝って下さいよーだ』

「はーい!」




彼は私から離れ、クラスの手伝いへと向かった。
まったく…、甘えん坊のコイツには苦労ばかりだ。
…まぁ、嫌ではないんだけどね




「あ、名前ー!!」

『ん?どうしたのマミちゃん…』

「あのね、名前には悪いんだけどさ…、メイド服着てくれない?」

『えっ!?ぜ、絶対やだ…!!』

「ダーメ!黄瀬くんが執事やるんだから、彼女の名前はメイドをやるの!わかった!?」

『…はい』




マミちゃんは友達なんだけど、怒ると怖い。オーラがね…
仕方ない、嫌だけどメイド服着るか…
























‐文化祭当日‐



『うわ…、これはメイドですね』

「名前すっごく似合ってるよー!」




マミちゃん、お世辞をありがとう…
むなしくなるからやめて




「…どうっスか?」

「きゃー!黄瀬くんカッコいいっ!!」

「執事服超似合ってるー!!」

「ありがとっス」




マミちゃん、似合ってる時の反応はあんな風にやるんだよ。
しっかし、モデルはスレンダーであり、背が高く服と合っている…。

じーっと見ていたら、黄瀬と目が合った




「…!?」

『黄瀬、どうしたの?』

「か、可愛いっス…」

『え?あ、ありがと…』

「さーて、2人とも呼び込みよろしくー」

「え!?」




黄瀬と一緒にマミちゃんに教室から追い出された。
酷い。メイドは他にもいるのになんで私が…




「さーてと、行くっスよ」

『あ、待って!』

「手でもお繋ぎしましょうか?メイド様」

『!?』




執事の格好をした黄瀬に、手を差し伸べられた。なかなか様になってる…!
ってか、照れるんだけど




『お、お願いします』




いや、ここまでは良かったんだけど…
周りのみんながさ、ジロジロ見てくるんだよね。「執事とメイドさんが手を繋いでる」やら「執事カッコいい」やら「執事カッコいい」やら「執事カッコいい」やら…


執事ばっかりじゃねーか!




『………』

「うわわ、みんな落ち着いて…」

「黄瀬くんカッコいいねぇ」

「一緒に写真撮ろう?」




女子に囲まれる彼氏を少し遠くから見つめていた。
自分で言うのもなんだけど私だって、そこそこ可愛い顔してるよ?…多分




「あれ?…苗字か?」

『…あ、笠松先輩だ!聞いてください!なぜに黄瀬だけモテるんですか!?』

「んな事知らねぇよ!…っつか見違えた。可愛くなったなー」

『か、笠松先輩好きっ!!大好きですー!』

「はいはい、そういうのは黄瀬に言え」




抱きつこうと傍に寄ったら笠松先輩に軽く押され、元の位置に戻ったのはいいんですけど、誰かとぶつかってしまった。




「いっ!」

『あ、すいません!!』

「周りをちゃんと見ろよ苗字のアホ」

『…大丈夫ですか?』




笠松先輩の言葉に少々イラつくも、ぶつかってしまった人に謝る。
怪我とかしてないかな…?




「…僕は大丈夫です。それにしても可愛いメイドさんですね」

『あ、ありがとうございます!』

「それでは…」

「あ、黒子っちぃ!!!」




優しそうな男の人は、この場を後にしようと歩きだしたんだけど、黄瀬に呼び止められたらしい。
ほーら、笠松先輩が冷たい目で見てるよ〜




「…黄瀬くん、ですか?」

「わーい!黒子っちが来たっス〜」

『……』




うわっ!
黄瀬気持ち悪っ!!
あ、笠松先輩がどっかいっちゃった…




『黄瀬、可哀想だから離してあげなよ』

「ありがとうございます」

「…ムッ、名前っち嫉妬っスか?」

『ムッ、それは黄瀬でしょ?私は嫉妬してないし』




私はイタズラで黒子さんの腕に絡み付いた。
それを見た黄瀬の顔がだんだんと歪んでいった。デルモのくせにブサイク




「…名前っち、黒子っちから離れるっス」

『い・や』

「……」




だんだんと黄瀬が怒ってきてる。
周りもザワザワしてきて、「執事とメイドのバトルだー」や「執事カッコいい」とか声があがる。




「あ、あの…」

『…黄瀬ばっかモテてズルい』

「んもー名前っち!俺の彼女なんすから他の男にくっつくなんて絶対に許さないっスよ!!」

『…はーい』




まったく怒るとピーピーうるさい野郎だな…。
仕方がない離れよう…




『…迷惑かけてすみませんでした』

「黒子っちに触らないで下さいっス」

「黄瀬くん、僕にさわらないで下さい」

『…ニヤァ』

「!?」




なるほど…、うざがられてるんだ。さっすが黄瀬
私のMy darling♪






















「はぁ…」

『ん?どうした?…文化祭終わりましたけども?片付け手伝いなさい』

「今日名前っちとまわってないっス…」

『…仕方ないよ。明日またあるしいいんじゃない?』




すると黄瀬に腕を引っ張られて、カーテンの中に2人で隠れる感じになった




「名前っちが足んない」

『は?私より黒子さんでしょ?』

「キス、したいっス」

『い・や』

「……」

『なんで学校でキスなんか、……んっ…!?』




キスは嫌だって言っただろう!
ムッツリスケベデルモバカ!!!




『〜っ!…バカッ!!』

「明日こそはっスよ〜」

『しねっ!!』

「ヒドッ!」





執事とメイド
(黄瀬くんに名前見て!
(マミちゃんどうしたの?
(?
(待ち受けにしたのー!執事がメイドに手を差し伸べているところー!
(!?
(!?



20131022

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