黒子のたすけ



「はぁ?めんどくせぇ…」

『えぇ、なんでよ!デートに行くだけじゃん!!』

「それがめんどくせぇつってんの…」




昼休み、お弁当を持って屋上に行くと、大輝くんが先にお弁当を持って屋上で私を待ってくれていた。
楽しい話を(一方的に)しながら、お弁当を食べ終え、勇気を出して「明日デートしよ」って言ったのに「めんどくせぇ」の一言だけしか帰ってこなかった。

ムカつくぜ…!!




『なんで?』

「歩くのヤダ」

『バスケでは走ってるじゃんよっ!!』




突然立ち上がった大輝くんは、頭を掻いたまま反対の手でお弁当を持ち、ため息をついて無言で屋上から出ていった。




『な、なんだよ…』




私と一緒に出歩くのはめんどくさくて、桃井ちゃんと一緒にいる時、バスケをしてる時はめんどくさくないんだ。
ふーん…あっそーですか!さいですか!












***



『おう、テツヤ』

「どちら様ですか?」

『名前だよ!』

「わかってます」




私は次の日、黒子テツヤがいる高校…誠凛高校へと来ていた。
校門で待っていると、数分してテツヤが本を読みながら現れた。
あれだよ?大輝くんとデートなんてしないからね「めんどくさい」って断られたから。うん




「青峰くんの事ですか?」

『はい!』




さすが感の働く男だっ!
と、いうわけで…、テツヤにマジバへと連れてきてもらった。
私の話を聞いてもらう為、バニラシェイクは私が奢る事にした




「それで、話とは?」

『うん…。あのさ、大輝くんって私の事ホントに好きだと思う?』

「はぁ、好きだと思いますけど」

『でもさでもさ、何回もアタックしてやっとOKもらった感じだし…、もうアタックされるのが面倒だから付き合っただけかもよ…?』

「はぁ…」

『テツヤさ、私に何か隠してるでしょ?』

「……」

『ホラッ!黙るって事はやっぱり…。大輝くんの為にも別れた方がいいのかな…?』




やっぱり好きな人に無理に付き合ってもらいたくないし、何より大輝くんが好きな私が一番傷つく。




「…青峰くんは、何も言わないんですか?」

『昨日だって「デートしよう」って言ったら「めんどくせぇ」って言われて、何も言わないで帰っちゃったしさ…』

「なるほど」

『それに桃井ちゃんといる時の方が、いい顔してる…。私といるより桃井ちゃんといた方が大輝くんは楽しいのかなって…』

「………」

『はぁ、ネガティブになってきた…。幼馴染っていいなぁ、それに桃井ちゃん美人だし可愛いし。私とは全然正反対で違うしさ…』

「………」

『…もう、何か言ってよ。やっぱり別れた方が私と大輝くんの為でもある?やっぱり別れるしかないのかな…』

「………」




話を黙って聞いていたテツヤはズコーっとバニラシェイクを飲み干すと、テーブルに置いた。




「そういうのは、僕じゃなくて青峰くんに聞けばいいじゃないですか」

『は?聞けないからテツヤに聞いてんだけど』

「でも…、もう青峰くん聞いてますよ」

『へ?』




その言葉と同時にテツヤは私の後ろを指差す。
私はその指をたどって、後ろに振り返ると壁に寄りかかって立っている大輝くんがいた。
…つか、なんでいるの!?




「名前、今日はデートなんじゃねぇの?」

『え、だって…』

「言っておきますが、青峰くんも悪いんですからね」

「………」




大輝くんは私達がいるテーブルまで歩いてくると、私の隣にドカッと座ってきた。
何か怒っているのか…?




「………」

「青峰くん、僕を睨まないで下さい」

『え、睨んでんの?』

「テツ、名前に余計な事言ってねぇだろうな?」

「言ってません」

『余計な事って…?』

「………」




また無視ですか?
いつも大輝くんって嫌な事があると無視するよね。
私も何回か無視されてるし、そんなに嫌なら別れるしか選択肢はないね。




『…別れる』

「は?」

「名前さん?」

『大輝くんが、私を嫌いなのが今日でよくわかったから。私と無理に付き合ってほしくない。だから別れる!』




これでいいんだ。
きっと大輝くんもホッとしてるはず。
私はちょっと心残りがあるけど…




『今まで、無理に付き合ってくれて、本当にありがとう…』

「……」

「青峰くん、顔」

「っ…」

「涙が出そうですよ」

『えっ!?』




どっちかっていうと私が涙出そうなんですけど…!
なんで!?




「見てんじゃ、ねぇーよ」

『…いやいや意味がわかんない!泣きたいのは私なんだけど!!』

「名前さん、本当は青峰くん、貴方が大好きで大好きで仕方がなんですよ」

「『へ?』」

「青峰くんは、よく僕に相談をしてきます。名前の顔が恥ずかしくて見れない≠ニかデートは何処に行けばいいんだ≠ネど…」

「テ、テツっ…!!」

『だ、大輝くん…?』




まさか、そんな…。
大輝くんは、私の事嫌いだと思っていたのに…、逆だったってこと…?




『大輝、くんっ…』

「な、泣くんじゃねぇよ!」

「青峰くん。そこはさりげなく抱き締めるんですよ」

「〜っ!」

『!?』




大輝くんは私の肩を掴むと、自分の方へと引き寄せた。




「俺は、名前が好きすぎてやべぇんだよっ…!」

「ヒューヒュー」

「テツ!てめぇヒュー≠カゃねぇよ!!後で覚えとけ!!」

『ふぇっ、…うぅ!』

「ったく…、その…、悪かったよ…」




大輝くんは、私がアタックする前から好きだったみたいで、告白された時は心の底から嬉しかったらしい。
私の事を無視していたのは、私の事をずっと考えていたため聞いていなかったから。
デートが面倒だったのもただの照れ隠し。2人きりでいると理性が保たなくなる可能性があるからだとか。
全部テツヤが教えてくれた







黒子のたすけ
(何で知ってんだよ…
(僕は何でも知っています
(ありがとテツヤ
(いえ
(大好きだよ大輝くん!
(―っ!!
(照れ過ぎです青峰くん



20130715

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