新作と告白を伝えよう



『このパイン、とってもスッパイン!』

「おぉ!それいただきっ」

『お父さんどいて?とーさん!』

「それもいただきっ!」

「お前らうるせぇぞ!」

「『!?』」




今日は、男子バスケ部の部室に遊びに来ている。もちろん伊月に会いにだけど…。
私は、新作のダジャレが浮かび上がる度に、伊月に聞かせている。
これが結構喜ぶんだから!




「じゃあ苗字、またよろしくなっ!」

『うん、まかせて!バスケ頑張ってねー!!』

「あぁ!」




伊月は私に背を向けて部室を出ていった。
それに続いて、部室にいたみんなも部室から出ていった




『新作考えなきゃ…』




1人で勝手に、部室を使わせてもらっています。でも、そろそろ帰るか…。
私はベンチから立ち上がり、部室を出て行こうとした時だった。
突然扉が勢いよく開いた。




「苗字!!」

『!?』




入って来たのは、さっきまで一緒に話をしてた伊月だった。
どうしたんだろう?忘れ物とか?




「…あのさ、」

『うん』

「練習、見て行かない?」

『え?いいの!?』

「うん、苗字がよければだけど…」

『行くっ!伊月ありがとう!!』




まさかバスケ部の練習を見られるなんて思ってなかったよ…。
せっかくだから、伊月の練習姿をたっぷり見よっと!









***



舞台の所まで走ってきた伊月は、飲み物を飲んで荒い息を整えていた。
舞台に座っている私は、話をかけた




『伊月カッコいい〜』

「そーか?」

『うん!』




いつものダジャレ伊月じゃなくて、バスケをしてるカッコいい伊月だ。




「伊月!!イチャコラすんなボケッ!!!」

「おー、悪い日向」

『!?』

「ごめんな苗字、もうちょい待ってて」

『え…?うん…』




突然、眼鏡をかけた人が伊月に向けて大声を発した。
それはもう怖い顔で




「驚かして悪かったよ。日向はスイッチが入るとああなんだ…」

『そ、そうなんだ…』

「伊月ィ!!早くしろや!!」

「あぁ!」




そういうと、伊月はコートへと戻って行った。
また真剣な顔をして試合をする彼。
そんな彼を見てて、胸と顔が熱くなった。




『…?なんだろう、ドキドキする』




伊月ってバスケしてる時は本当にかっこいいんだ…。ダジャレを言う時の伊月はちょっと残念なのにね…




「うわー!疲れたなー!」

『!?』

「あっれ?君って伊月の友達の苗字さんだよね?なんでここにいるの?」

『小金井くんだよね!』

「そーそー!!あ、もしかして伊月待ち?」

『うん!そうだよ。待っててって言われたから待ってるの』

「そっか、ついにか…」

『…何が?』

「え!?あ、なんでもないっ!!」




小金井くん変なのー。
ってか、この人は練習しなくていいのかな?
みんな一生懸命頑張ってるのに…




「コガっ!!」

「うわわわ!やりますやります…!!」




やっぱり日向くん怖い…

私は、バスケの練習が終わるまで、体育館の舞台で全体を見ていた。
やっぱり誠凛のバスケ部はすごいな…









***



「お待たせ」

『伊月お疲れ様ー』




練習が終わり、みんなが部室に戻って行く時に、伊月が「制服に着替え終わるまで下駄箱で待ってて」と彼に言われたので待っていたところです。




「悪いな、待たせて」

『全然大丈夫!』

「…じゃあ、帰るか」

『うん』




荷物を持って、伊月の隣を歩く。
外は暗く、人もあまり通ってはいなかった




『久しぶりだなー』

「…何が?」

『こんな時間に帰るの』

「まぁな、苗字は部活入ってないから早く帰れるもんなー」

『伊月と帰るのは初めてかも』

「そういえばそうだな…」

『初、伊月と帰宅っ!…なんてね』

「………」




なんだろう…。
ちょっと伊月の元気がない気がする。
練習キツすぎて、疲れたのかな?大丈夫かな…?




『早く帰る?』

「なんで?」

『疲れてるみたいだから』

「…違うんだ。ちょっと時間くれないか?」

『いいよ、じゃあそこの公園に寄ろう』




すぐ近くにあった公園に入り、2人でベンチに座った。
周りには誰もいなくて静かだった。




「………」

『………』

「………」

『………』




続く沈黙。
暫くして、伊月の口が開いた。




「…俺さ、苗字の事が好きなんだ」

『…へ?』

「2年生で同じクラスになって、最初は"可愛い"って思ってたんだけど…、話していくうちに、好きだって気づいた…」

『伊月…』

「新作のネタを考えてもらってるのも、ただ苗字といたいからなんだ。だから、苗字の気持ちを教えてほしい…」




伊月からの突然の告白。
小金井くんが言ってたのって、この事だったんだ…




『…私は、新作を考えるのすごく楽しかった。それを伊月に伝えるのも楽しかった。だって…、伊月に会えるから』

「それって…」

『たぶん、これが"好き"って気持ちなのかも』

「ありがとう!…じゃあ、名前は俺と付き合ってくれる?」

『…私でいいの?』

「名前がいい」

『ありがとう。私も俊と付き合いたいです!よろしくね!』

「あぁ!」





新作と告白を伝えよう
(ねぇ、俊
(何?名前
(デートいつにする?
(明日は部活ないから行けると思うよ
(やったー!

(おーい、明日は部活にすんぞー!!
(日向、それはいくらなんでも酷いから…
(うるせぇコガ!!



20131003

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