照れ屋な同級生



『おーい笠松ー』

「ん?なんだ?」

『さっき友達から聞いたんだけどさ、ギター出来んの?』

「まぁ、趣味だからな、出来るぞ」

『マジで?じゃあ今度教えてよ』

「おー、わかった」




放課後、部活でバスケの練習をしていた時だった。
仲の良いクラスメートの苗字が体育館まで来て、そんな事を聞いてきた。

聞いた後すぐ帰ったけどな




「笠松センパイ、誰っスか今の子。センパイ女性苦手っスよね?」

「あ?…まぁ、そうだな」

「仲が良いんスね〜」

「あ、あぁ…」

「で、誰っスか?」




さっきのやり取りを見ていた黄瀬が、しつこく聞いてくる。
別に怪しい関係ではないから答えるか…
黙ってたら余計に怪しまれるからな




「アイツは、友達みたいなもんだ」

「…ふーん」

「ほらっ、突っ立ってねぇで動け!」




黄瀬の質問に答えた俺は奴を無理矢理練習に戻した。
だってよ、あまり色々聞かれたくねぇし…。

俺は足元にあるボールを手に取り、その場でシュートを決める。




「……っ」




ボールはネットをくぐり、バウンドをしてコロコロ転がり少ししてからピタッと止まった。俺はボールを手に取りながら考える。


苗字は…、唯一女で仲が良いクラスメート。彼女はショートカットで、口調が少し荒い。どちらかというと男っぽいな




「あのー、笠松センパイは好きなんスか?」

「!?はぁ!?んなわけねぇだろっ!!つか練習しろよっ!!!」

「へぇー、って事は好きじゃないのに絡んでるって事っスね」

「いや…!好きじゃないわけじゃ!!それに、嫌いだったら仲良くねぇ!」

「じゃあ好きなんスね?」

「…っ」




な、なんだよコイツ…!!
なんでいちいちツッコんできたりすんだ!?
意味わかんねぇよ!!

というか…、俺は苗字の事が好きなのか?
いやいや、友達としては好きだ。けど異性としては?
今までそんな風に見た事なかった…




「顔真っ赤っスよ?笠松セ・ン・パ・イ」

「うるせぇ!!シバくぞっ!!!」

「いたっ!!痛いっス!」




ムカつく黄瀬に背中を思いきり蹴った。










***


次の日の放課後、部活がないため教室で苗字の事を考えていた。




『かーさーまーつー』

「!?あ、苗字…」

『ん?どうした?』

「あ、や、…べ、別に…」

『?』




机に頬杖をつきながら少しだけ考えていると、突然苗字が教室に入ってきた。


やべぇ…、苗字の事が好きなのかなって思うと、意識して変な感じになる…。心臓の動きが早いっ…!!




『…どーしたー?』

「なんでもねぇよ!!」

『な、何怒ってんの?』

「お、怒って、ねぇ…!」




…態度、悪かったか?




『笠松…、なんかおかしいよ?』

「………」

『…悩みがあるなら言って。友達だろ?』

「………」




“友達”…か。
…苗字は俺の事、友達だと思っているみたいだけど、俺が「好きだ」って言ったらお前はどんな反応するんだろうな




「悩みっつーか…」

『ん?』

「迷ってんのかもしれねぇな…」

『何に?』

「………」




これ…、言ったら今の関係が崩れたりしねぇか?
もし崩れるんだったら…、言わねぇ方がいいんじゃ…




『大丈夫だから言って』

「…じゃあ、遠慮なく」

『うん』

「苗字が好きだ」




よし、言った!
…黄瀬に気づかされたってのが気に入らねぇけど、一応礼は言うぞ




『…笠松』

「ん?」

『…あ、ありがと』




目の前にいる彼女は、顔が赤くなっているのを隠すため、両手で顔を覆った。
その仕草が可愛いと思ってしまったのは、言うまでもない。




「じ、じゃあ…」

『ありがと笠松…!私の事そんなに好きなの!?』

「……」

『これからも仲良くしてな!友達として』

「………は?」




友達としてってなんだ?
おい、こちとら告白したんだぞ?




「なぁ…、俺が言った“好き”ってのは、“友達に”じゃなくて“女のお前に”って事だぞ?」

『…え?』

「え?…じゃねぇから!!早く女としての返事返せよっ!!」

『…じ、じゃあ好き』

「“じゃあ”ってなんだよっ!!」





照れ屋な同級生
(う、うるさいっ!こ、こういうの全く慣れてないんだよ!!
(慣れてても困るけどな



20130908

- back -


[prev] | [next]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -