キャラ弁



『桜井くん!』

「あ、名前さん」

『今日もお願いします!』

「はい!こんな僕でよければっ!」




毎日、この時間が一番楽しかったりする。
桜井くんは同じクラスじゃないからあまり話す事はないけど、料理の話はよく屋上でしてる。
昼休みになると、私達はお弁当を持って屋上へと向かうのだ。そして…




『感想、お願いします!』

「すいません…、あ、これ僕のお弁当ですっ!」

『いただきます!』

「すいません、僕もいただきます!」




半月前に私が放課後1人で家庭科室を借り、料理の練習をしていた時、桜井くんに見られたのが原因。
それからお互い作ったお弁当を、渡して食べるのが当たり前になった。
彼のお弁当のフタを開けると…、可愛いキャラクター(いわゆるキャラ弁)




『今日も可愛いね』

「そうですか?」

『うん!私も早くこんな風に作りたい!』

「僕は名前さんの方が可愛いと思いますけど…」

『そ、そんな事ない!』




桜井くんに褒められると照れてしまう。
私の料理はまだまだ彼には及ばない…




「…モグ、ん!味もすごく美味しいです!」

『本当!?良かった〜』

「名前さんなら、もう僕が料理を教えなくても平気そうですね」

『え?』




そう彼から言われた。
もう桜井くんと2度と話が出来ないって事…?
…そ、そんなの嫌だ!




「あ、でも…そしたら…」
『嫌だっ!!』

「す、すいません!!」

『まだ、教えてほしい…。たくさん、もっと…』

「名前さん…」




だって、この時間が…桜井くんといる時間が一番楽しいのに、もう一緒にいれなくなるなんて寂しすぎる




『私に…、まだ料理を…』

「はい」

『ごめんね…』

「いえ、僕の方こそすいません」




桜井くん、迷惑と思ってるかな…?
いやいや、彼は優しいから大丈夫なはず










***



今日も桜井くんに味見してもらおーっと。
結構上手くできた気がするんだよね〜




『ふんふ〜ん』

「おい、名前」

『…青峰』




昼休みに教室を出て、桜井くんのクラスまで行こうとしたら、後ろから名前を呼ばれ振り返ると…青峰の姿が。




『な、なに?』

「弁当くれ」

『はぁ!?嫌だよ!』

「別にいーじゃねぇか」

『人にたかるんじゃなくて購買に行きなよ』

「めんどくせぇ」




このガングロ、マジでムカつくな…。
私は青峰の為にお弁当作ったわけじゃないんだよ!桜井くんの為に作ったの!




「じゃあ半分」

『は、半分!?』

「あぁ」




なんで青峰と仲良く半分にしなきゃいけないの?マジで嫌だよ。




「あ、青峰さん!」

「あぁ?」

『桜井くん!?』

「僕のお弁当あげますから、名前さんのは食べないで下さい!」

「は?」




突然桜井くんがお弁当を持って私達の所まで走ってきた。彼は青峰にお弁当を強引に渡すと、私の腕を掴んで全力で走った。









***



「はぁ、はぁ…」

『はぁ、はぁ…』




桜井くんが向かった場所はいつもと同じ屋上だった。私達は息を整える




「すいません…」

『え?あぁ、大丈夫!困ってたから逆に助かったよ。でも、お弁当はごめんね』

「そんな事はいいです!気にしないで下さい」

『ありがとう』




やっぱり彼は優しい。
ずっと桜井くんと一緒にいたいな…。
彼は私のことどう思ってるかわからないけど…




『…ねぇ桜井くん、どうして優しくしてくれるの?』

「え?」

『だって、私の代わりに青峰にお弁当渡してくれたし、ワガママだって聞いてくれたり…』

「僕は…、名前さんのお弁当が食べたいからです」

『桜井くん…』

「それに、名前さんのワガママだって、僕もまだ話したいし、一緒にいたいからです!」




そう力強く言われる。
そうなんだ…桜井くんも私と一緒の気持ちなんだ…
すっごく嬉しい!




『ありがとう桜井くん!』

「うわぁ!!名前さん!?」




私は我慢できずに桜井くんに抱きついた。
すると彼は、顔を真っ赤に染めて固まっていた




『?』

「あ…、うあ…」

『さ、桜井くん?』

「すいませんすいません!本当にすいません!!」

『へ?』

「……」




こんなにテンパってる桜井くんを初めて見た…。
抱きついたのがまずかったのかな?
は、離れよう…


離れようとしたら、背中に腕が回ってきた。




「ダ、ダメですよ!」

『!?』

「僕から、離れないでください…!!」

『は、はい!』




か、可愛い…!
意外と筋肉ある!…まぁ、バスケしてるから当たり前なんだけどね




「ふーん、そういう事か」

「…あ、青峰さん!?」

『げっ!!』





キャラ弁
(良、弁当あんがとよ
(は、はい…
(い、いつまでいるのよ!早く帰れっ!!
(楽しそうだから帰らない



20130827

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