君が好き



『えぇ!?無理無理無理!!!絶対に嫌です!!』

「大丈夫大丈夫!俺が先頭だから、ねっ?」

『こ、怖い…!!』

「平気だって!行くよ名前ちゃん」

『いやだぁぁぁあ!!』




ここは遊園地。
お化け屋敷がとても怖い遊園地らしい。
なんと約1時間もかけて出口に向かうわけですよ…。
実は昨日の放課後、クラスメイトの高尾くんに「一緒に遊園地行かない?」って誘われた。
私、高尾くん好きだったからすっごく嬉しかった。それで今日頑張って告白をしようかなと…、考えています…




けど、お化け屋敷のせいで今は何も考えられませんっ!!




『帰りたいぃぃい!!』




灯りも何もない。真っ暗。これを1時間も歩かないといけないなんて…!!
やだよ…!!!




「悪い子だなー、俺をこんな暗闇の中に置いてく気なの?」

『あっ、……でも…!』

「大丈夫だって、そうやって俺にしがみついてなー」

『!?』




気がついたら、いつの間にか高尾くんの服をすごい力で掴んでいた。
私とした事が…、高尾くんになんて事をしてるんだ!
恥ずかしい!恥ずかしいけど…、怖くて離せない




『うぅ…』

「名前ちゃん大丈夫?」

『なんで高尾くんは逆に平気なんですかっ!!』

「ん?…わかんねぇ」

『………』

「っつ事で名前ちゃん。お化け屋敷から簡単に出られると思うなよ〜」

『お、思いませんっ!!』



















「ウガァァァァァア!!」

『ぎゃあぁぁぁぁあ!!』

「うわっと…」




いきなり私の背後からゾンビが迫ってきた。
私は怖くなって高尾くんにおもいっきり抱きついてしまった。




『うぅ…!怖いっ!!』

「名前ちゃん、ゾンビ行ったけど…」

『もうやだ…!あ、足が動かないです…!!』

「うーん、参ったなぁ…、名前ちゃんには俺のカッコいいところ、見せたかったのにな…」

『…?』




あれ…?
いつも笑顔が絶えない高尾くんの顔が、悲しんでいるのが暗闇の中でもわかる。




「俺、いつもふざけてるじゃん?」

『そんな事…(あるかも)』

「名前ちゃんをゾンビから守ってカッコいいところをさ…、見せたかっただけなんだ。ごめん、怖い思いしたよな…。つか俺も怖かったけどね」

『高尾くん…』




もしかして私の為に、お化け屋敷が平気なフリをしてたの…?
そっか…、本当は高尾くんもお化け屋敷苦手なんだ




『高尾くんは…、いつも優しいし、カッコいいです。私はそんな高尾くんが好きなんです』

「よし!その言葉を待ってたぜっ!!もっと奥まで行くぞぉー!おぉー!!!」




さっきまでシュンとしてたのに、なんだこの変わり方っ!!
なんかすごい力で腕引っ張られるんだけど!!
ま、まさか高尾くんの罠だったのか!?ひ、酷い!




『やだぁぁぁぁぁあ!!』
























『うっく!…ふぇっ』

「ご、ごめんな!無理矢理だったよな…!」

『もう、いやです…。腰、抜けました…』




ゴールしたと同時に、私は地面に座り込んだ。
今になって腰が抜けた。




「…ははっ、面白い!」

『…どこがですか』




何かツボにはまったのか、腹を抱えて笑う高尾くん。
どこがそんなに面白かったの?




「はは、弱々しい名前ちゃんも可愛い」

『っ!?』




た、高尾くんが今、か、可愛いって…!
高尾くんは、地面に座り込んでいる私の目の前にしゃがんだ。




「…俺は、名前ちゃんが大好きです。もしよければ…、こんな俺と付き合ってください」

『………』




いつもより真面目な顔…
高尾くんの…、告白?
私の事好きなんですか…?
うそっ!!ホントに!?




「おいおーい、返事はどうなんだー?」

『わ、私も高尾くんが大好きです!私でよければよろしくお願いします!!』

「はは、顔真っ赤…」

『た、高尾くんだって…』





君が好き
(名前ちゃん、敬語やめない?
(え?
(ほら、俺もう彼氏だし
(…う、うん!これから、タメ語で…!
(はは、可愛い



20130502

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