僕も好きだよ




「は?今日は予定あるから早く帰るって?」

「…((コクリ」




今日は早く帰らなきゃ…。
京都へと行ってしまった名前が帰って来るって昨日の夜電話が来てそう言ってたから。

無口な僕でも彼女と電話が出来る。小金井と同じで、僕の思っている事がわかるらしい




「珍しいな水戸部…」

「………」

「今日はどーしても外せないんだってー」




そう。
名前とは年に1度くらいしか会えない。
あ、名前は僕の大切な彼女だったりする




「…((ヒラヒラ」

「気をつけて帰れよー」




手を振ると、小金井が体育館の入口から大きく手を振って見送ってくれた。
さあ、早く名前の所に行かないと…!!
歩くスピードがだんだん速くなって、最後には走っていた。









***



待ち合わせは、この公園のベンチだったよね?
僕はベンチに座り、彼女に会えるのをワクワクしながら待った。

久しぶりに会えるんだ、楽しみだな…。何の話をしよう…




『だーれだ!』

「っ!?」

『凛のビビリー』

「……」

『ふふ、凛久しぶり』

「……」




突然後ろから彼女の手によって目を覆われ驚いたけど、名前の声を聞いてホッとした。
後ろを振り返ると、1年前よりも少し大人になった名前の姿が目の前にあった

僕は一瞬固まったけど、すぐ笑顔になる。
彼女は僕の隣に座ってきた。




『あぁ、凛に会うと癒されるなー』

「………」

『え、嫌な事?…そんなのなかったけど、凛がいなくてつまらない…』

「!?」




名前の発言にドキッと心臓が跳ねる。
僕も、嫌な事は…、名前が隣にいない事だよ




『京都でも、ずっと凛の事ばっかり気になってるし』

「………」

『え?凛もなの?…私たち相思相愛ってやつだね!』

「……」




相思相愛。
その言葉が嬉しすぎて、つい頬が緩む。




『なんで京都行っちゃったんだろー』

「?」

『…京都じゃなくて、東京にいたら、凛といっぱいいれるのに…』




彼女の顔は今にも涙が出そうだった。
僕は優しく肩を抱き、名前を引き寄せる。




『凛…?』

「……」

『ずっとここで、私の帰り、待ってるの…?』

「…((コクリ」

『ずっと…?卒業して帰ってくるまで…?』

「…((コクリ」




会えるのは年に1度だけだけど、僕はずっと名前の帰りを待ってる。
いつか、名前にプロポーズをして一緒になれる日を待ち続けるよ。




『凛…!私と、別れないでね…!!』

「……」

『別れないよって…、なかなか会えない私を嫌いになったら…?』

「……」

『本当に…?嫌いにならない…?』

「…((コクリ」




名前は僕の背中に腕を回し、泣き叫んだ。




『凛ー!!好きっ!すごく大好きだよ!!』

「……」





僕も好きだよ



‐翌日‐
名前は朝早く、京都に帰って行った。僕は昨日出来なかった練習を体育館で1人でしていたら、みんなが入って来た。

が、僕に近寄ってくる…




「お前、彼女いたのか…」

「!?」

「水戸部ー。あの人って、中学一緒だったよね?」

「……((コクリ」

「水戸部もやるね」

「………」

「ははは!いいねぇ彼女。俺も欲しい!」

「木吉は天然を治さないかぎり絶対に出来ねぇよ!!」




ま、まさか…
みんな、見てたとか…?




「「「「「うん」」」」」



20130819

- back -


[prev] | [next]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -